長屋門公園で水彩画展を開催中の「蔵の会」の代表を務める 吉野 久さん 阿久和東在住 80歳
絵が深める心の通い合い
○…長屋門公園の蔵ギャラリーに並ぶ、水彩画およそ25点。作品を手掛けるのは、5人で構成されるグループ「蔵の会」の会員だ。絵は描き手と鑑賞者、そして蔵の会の会員同士を結ぶ一種の「コミュニケーションツール」だという。「お客さんが絵を観て何かを感じていただくことは、私にとって見えない会話のようなものなんです」と柔和な表情で語る。
○…地域活動に携わるようになったのは60代半ば。自宅と会社を行き来するだけの生活、地元を知らず近所とも面識が無い我が身を振り返り、会社を”卒業”して地域に”入学”した。そこからは自治会に始まり、阿久和北部地区で様々なボランティアを展開する団体「おやじの広場」と活動を拡大。蔵の会は同公園での展示会を観たことがきっかけとなり、入会した。「人は他人(ひと)とともに生き、出会いの数ほどその人生がある」--。座右の銘とするこの言葉の通り、素晴らしい仲間たちと出会えたことが一連の活動の財産だ。
○…「絵を描くことは写経するより、心身に良い」。ある高名な僧侶の言葉だという。蔵の会には90歳を超える会員も在籍する。傘寿を迎えた自身を振り返り、「子どもの頃は80歳というと相当のおじいちゃんだった。自分がその年齢になったとは信じられません」と笑う。創作におけるキーワードは「懐かしさ」。生まれ育った栃木県那須の自然や風景への郷愁が、その根底にある。
○…団体行動だという自治会やおやじの広場の活動は、年齢や後進へのバトンタッチを考えて、「定年」を意識するようになった。自分自身と向き合うことが求められるという水彩画については、「いつまでも元気でいられるように、仲間たちと絵を描き続けていきたい」と胸に抱く。
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