市指定無形民俗文化財「橋戸囃子連中」の会長を務める 芝本 重次さん 瀬谷在住 76歳
「死ぬまで一生稽古です」
○…区内の祭りやイベントに出演するひょっとこ、おかめ、獅子舞でお馴染みの「郷土芸能保存会橋戸囃子連中」。約140年続く同会の会長を5年前から務める。「お客が少ないからって手は抜かない。見に来ている全員を満足させたいからね」。同会には現在、下は小学生から上は80歳代までの約30人が在籍する。自身は43歳の時に本格的に参加。「昔はゲームも娯楽も少なかったし、練習後の世間話が楽しみだったから」と参加の理由を振り返る。
○…「囃子や踊りに完成はない。基本はあるが、調子の長さや手の出し方一つひとつがそれぞれ違う。譜面や台本がないから、人を真似て良いものを作っていかないとね」と代々伝わる「芸は盗め」の精神が息づく。同会の長い歴史の中では、戦争や会員の減少などで止む無く活動中断や解散寸前までいったことも。1970年代、活動規模が縮小されていた会を復活させようと、仲間とともに活動を再開させた。81年には活動内容が認められ、「横浜市指定無形民俗文化財」の指定を受けた。「少し練習すればできるというものではないが、若者に継いでもらいたい」と伝統芸能の若い担い手に期待を寄せる。
○…53歳で勤めていた会社を早期退職。退職後は交通安全協会橋戸支部長を22年間、橋戸北自治会会長を14年間務めている。「趣味はないよ」と話すが、37歳から行き始めた海外旅行先は20カ国を超える。「行ったことのない場所へ行ってみたい」と地域活動の合間を縫って飛行機に乗る。「次はカンボジアのアンコールワットに行きたいな」と冒険心は尽きない。
○…「米軍のジープが瀬谷の駅前を走っていた頃は、瀬谷駅から下瀬谷方面が見渡せた」。橋戸周辺の住宅は終戦後はわずか50戸程だったというが、今では約1000戸にまで増加した。「昔より人が多くなったけど、血の通った人付き合いを大切にしたい」と囃子連を率いて瀬谷を練り歩く。
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