麻生区版 掲載号:2017年9月8日号

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第108回 シリーズ「麻生の歴史を探る」徳川入府(4)〜領主と農民 後編

上麻生・秋葉神社―浄慶寺―
上麻生・秋葉神社―浄慶寺―
 【前号から続く】この上麻生村の領主三井佐右衛門吉正は元武田家の家臣で屋敷がなく、麻生の郷士小島隼人(佐渡守の孫)屋敷に13年間寄寓していたと云われ、書留帳によると上麻生には800石(検地は500石)、遠州に700石の知行地を持ち、領地召し上げがあったが、元の知行1500石の旗本と記しており、その間、上麻生領民は村内山口台に御屋敷を建てて差し上げ、駿河台に旗本屋敷を拝領した折は村民挙げてお送りし、以降、御屋敷で人夫等必要の折は、如何様なりともお申し付けに応じます、と約したと記しており、私的な書き留めながら凡その当時の農民と領主との関わりが伺い知れます。

また、この三井吉正は慶長二年(1597)小島家の菩提寺常安寺(妙香山)に寺領6石の御朱印を与えており、上麻生村の領主を続ける三井家は宝永五年(1708)と天保六年(1835)の2回にわたり上下麻生村の鎮守(月読神社)の再建に援助をしており(県神社誌)、さらに三井家は元和元年(1615)上麻生仲村に菩提寺浄慶寺(麻生山)を開基創建しており、後に遠州より火伏の神を勧請して秋葉神社を創建しており、今も上麻生・岡上などの在家に秋葉講(火伏信仰)が残されています。

 麻生周辺の領主の特徴は他にも知行地を持っていることで、これ等の領主は代官を置いたことでしょう。その中で高石の領主加々美家は潮音寺、栗木の領主岡野家は林清寺、早野の領主富永家は戒翁寺を菩提寺としており、領主と農民の繋がりは上麻生の三井家と同様幕末まで続きます。その中で農民にとって一つの改革は「慶安御触書」で、庶民(小百姓)を保護しようとする施策により、前述した三田家のような大庄屋は姿を消していきます。

参考資料:「麻生郷土歴史年表」「川崎市史」「江戸近郊農村と地方巧者(村上直)」

 文:小島一也(遺稿)

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