海老名市内で4つの合唱団を指導する声楽家 渡辺(わたなべ)紗由璃(さゆり)さん 国分北在住 65歳
想いを伝えるには、全力で
○…「合唱では100%の力を発揮できないという悩みを聞いて、独唱を提案したんです。まさかやる事になるとは」と団員のチャレンジを嬉しそうに話す。半年前に始まったこの挑戦に向けて、時間の合間を見つけてはレッスン指導の日々。「手帳のスケジュール表は本当に真っ黒なんです。団員にとっても今回の独唱会は一生に一度の挑戦。また私にとっても挑戦ですね」と目を輝かせる。
○…元気溌剌(はつらつ)の言葉がピッタリ。なんでもハキハキとした口調で質問にとことん答えてくれる。「父から心の強さを教わりました」。幼少時代から負けず嫌いは今も変わらない。全く褒めない厳格な父に対抗して、勉強もスポーツも「他人に負けないようにしないといけない」と、いつもがむしゃらになって取り組んでいた。小学5年生のとき、TVで「庭の千草」を歌う姿を見て、オペラ歌手になることを直感。学生時代から歌の指導をし、20歳のときにも独唱会を開いていた。「あの時だけ、父が褒めてくれましたね。『男に生まれて欲しかった』って」と椅子に寄りかかって笑い出す。
○…「人生が狂っちゃった時があるんです」と遠くを見つめる。結婚して間もない28歳のとき、生死をさまよう大病にかかった。あるときはソファーで寝たきりになり、移動するにも床を這いつくばって動くなど日常生活が出来ない状態で救急車にも何度乗ったかわからないほど。「介護状態の私の面倒を見てくれた主人には世話になりっぱなしで、本当に頭が上がりません」と新婚旅行の写真を眺める。
○…苦難を乗り越え、辿り着いた先は音楽を通して恩返しをすること。「たくさんの人たちに生かされていることを感じています。私にとっては『今が青春時代』ですね」と希望に満ち溢れた表情を見せる。団員たちの成長は自分の成長と同じもの。期待と不安で胸を膨らませ、きょうの本番へ、いざ臨む。
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