3月16日から絵手紙の作品展を開く 伊藤(いとう)多佳子(たかこ)さん 東柏ヶ谷在住 64歳
胸に秘める言葉を届ける
○…絵手紙を描き始めて17年。旅行に出かけた思い出や病院の先生に言われた日々の生活など、絵手紙として残した約300点の作品を展示する。家族に病気を隠す友人の思いを『嘘をついてはいけない。でも本当のことを言えない時がある』と綴り絵手紙にした。心からの声を絵手紙で代弁する。「便利な時代だけれど、絵と文字が不思議な力を発揮してくれる。心から伝わる方が良いですね」
○…絵手紙を始めたきっかけは子離れするため。周りの人に「いつまでも娘さんにベッタリだとお嫁に行けなくなるよ」と言われるほど、いつでも一緒の親子だった。そんな娘が大学に通いだし、一人の時間を多く過ごしているときに出会ったのが絵手紙。「寂しさを紛らわすために始めたんですよ」と目を細める。1年目で千枚の絵手紙を描くなど、のめりこむまでに時間はかからなかった。ツアー旅行に行けば、他の人が買い物をしている間も風景をスケッチして、絵を描きとめていた。渡す相手が決まったときに、言葉の息を吹き込み、手紙へと生まれ変わる。「『良い言葉だね』って言ってもらえることが多いんですよ」と嬉しそうな表情。
○…絵手紙以外にもオカリナや、ガラスに絵を描くガラスアートなど趣味は多い。人一倍のチャレンジ精神は、幼いころに両親を亡くしたことからきている。当時は「両親が揃っている人には負けたくない」という思いでピアノや華道、茶道などの習い事をこなした。「負けん気の強い子でしたね。今でもそれが表の顔かも知れません」
○…今回の作品展は結婚40周年の記念展。5年ほど前に夫の具合が悪くなったときは「眠れないほど、『雫(しずく)』がこぼれました」と当時を振り返る。2人の思い出は九州と京都の2回の旅行。「日本の中でも行ってないところがまだまだある。連れてってくれないかなぁ」と向日葵のような笑みを浮かべた。
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