たまる一方 下水汚泥焼却灰 箱根でも…国が安全基準示さず
下水の汚泥を焼却した灰が地元下郡の下水処理施設内にも溜まり続けている。食品には放射性物質の暫定基準値があるものの、汚泥には安全基準がないためだ。これまで焼却灰はセメント原料として業者が受け入れていたが、現在はほぼストップしている。西湘地域では小田原市の酒匂川流域の下水処理場で1㌔あたり1175ベクレルのセシウムを検出(先月23日)。湯河原町と箱根町はまだ数値を公表していない。※真鶴町は湯河原の浄水センターで処理。
箱根町の処理場では1ヵ月あたり2・8トンの汚泥焼却灰を排出、現在はプラント内に小分けにして保管している。保管場所はあと3ヵ月分程度だが、夏の観光シーズンは焼却灰が増加する見込みだ。湯河原浄水センターは1ヵ月あたり4・5㌧程度排出するが、保管容量の空きがあり通常業務の範囲内だという。国土交通省は先月福島県に対し「1㌔あたり10万ベクレル以上の焼却灰は飛散しないよう容器に保管、それ以外は他の原材料と混ぜるなどしてセメント製品になるときにクリアランス以下になれば利用して差し支えない」といった文書を出した。これに対し先月25日、黒岩県知事は「福島以外の地域に対しても明確な基準を定めるよう」緊急要望を提出している。本紙が改めて国交省側に取材したところ担当課は「うちの県向けに何か定めてと言っているようだが、福島の例を参考にしてほしい」とコメント。8日現在、両者の言い分が歩み寄る気配はない。