真鶴町と湯河原町で来月から有料の指定ごみ袋が試験導入される。可燃ごみにペットボトルなどの資源物や町外のごみが混入しているため、統一デザインの袋でマナー徹底を図る方針だ。価格は1枚10〜13円程度の見込み。こうした中、可燃ごみ自体を減らす動きも徐々に広がり始めている。
真鶴町岩海岸近くの民宿「舞の浜」では、厨房で出た野菜くずなどを手作りのコンポストに入れてきた。宿泊・飲食業界では当たり前のように出る生ごみだが、同館では土に返すことが日課。庭に浅い穴を掘り木の蓋をつけた簡素なものだが、5年経っても不思議と満杯にならない。女将の向笠トシ子さん(72)は「これが広がればね。ごみ減量は主婦一人ひとりの腕にかかってると思いますよ」と話す。
真鶴の山本洋子さん(73)が自宅の玄関先に置いているのは段ボールコンポストだ。箱の中には温度計が刺さっており、こまめな温度チェックを欠かさない。冬場はペットボトルに湯を入れて保温するなど愛情を注ぐ。「ごみ袋が軽くなるのがうれしくてね。量を減らせば埋め立て場所も長く使えるでしょうし」。微生物の動きはその日の気温や入れるごみの種類で変化する。米ぬかや天ぷら油などを混ぜると微生物が活発化しやすいという。山本さんと段ボールコンポストとの出会いは昨年真鶴町で開かれた「成人学級」だった。講師は湯河原町に住む石井浩さん。普段は小田原市の職員としてコンポストの普及活動に取り組んでいる。地元での普及はこれからといった感だが、昨年末に湯河原町環境課が10セット分の段ボール配布を呼びかけた。当日は希望者が相次ぎ、わずか5分で在庫がなくなったという。小田原では約4千世帯が段ボールコンポストにチャレンジ、加藤憲一市長も熱心な段ボールユーザーとして知られている。
建設費52億円焼却灰埋納施設
湯河原や真鶴で排出され、美化センターに持ち込まれる可燃ごみは年間約1万7千トン(26年度)で食べかすはこのうち17%程度。これらを月8千トンもの灯油を使って燃やしている。「生ごみは水分量が多い、これが減れば燃えやすくなるので有難い」(美化センター)。ごみは燃やして消えるわけではない。たまった焼却灰は数年前まで「さつきの郷」近くの最終処分場に埋め立てられていたが、地下水から環境基準値を上回るカドミウムが検出され、その後約32億円をかけて灰を撤去した。跡地には約52億円をかけて屋根付きのプール型埋納施設を建設する予定で、38年分の焼却灰を埋納するという。