城東高生徒会長の頃から政治志す 27歳トップ当選
14議席をめぐる湯河原町議選が13日に行われ、3人の新人が上位当選し、出馬した現職全員が再選を果たした。投票率は前回から3・7ポイント減の56・97%だった。
同級生などが活動支える
前回からベテラン町議4人が去り、その票の行方について憶測が飛び交った今回。トップで万歳の声を上げたのは松井一寿氏(無新・27歳)だった。町議会の最年少当選は4年前の室伏寿美夫氏(当時25歳)。
「湯河原に元気がなくなっている。自分に何ができるか考えたのがきっかけです」。松井氏が政治を志したのは城東高校(現・小田原ビジ高)時代。生徒会長を務め、大学進学後は観光を学んだ。卒業後に入った小田急箱根ホールディングス(株)では箱根登山バスに出向し「国際観光地の現場で湯河原に不足している要素を実感した」という。1年ほど前に立候補を決め、その年の秋に出馬表明。新人たちの中でも早い駆け出しで、中高の同級生を中心とした若手が20人ほどサポートに回った。今回強く訴えたのは観光の強化。「外部の協力を得て、観光の人材を育てたい」と意気込む。
得票2位は商工会長の石倉幸久氏(63歳・無新)。昨年春に県議選の一騎打ちで敗れ、今回は決して負けられない選挙戦だった。「税収増を目指すためにも温泉を活気づけたい。町民と商工業が一体となり、同じ方向を目指すべき」と力説して回った。出馬の意を固めたのは1月中旬。「若干遅めの始動だったが、この結果になるとは」。万歳の後、後援者の一人が手を差し伸べて「実るほど、頭をたれる稲穂かな、だよ」と激励。石倉氏が大きな体を丸めて握り返していた。
共産党得票数前回比で倍増
「先輩の努力を受け継ぐプレッシャーはあるが、頑張ります」。共産党の新人・並木まり子氏(64歳)は11月まで訪問入浴の仕事をしていたが、引退した小澤眞司氏の後継として立つことに。得票率を4年前(小澤氏時代)の4%から9%へ大幅に伸ばすなど順調なバトンタッチにほっとした様子だった。「県内で2番目に高い町の国保料を引き下げたい。妊婦検診も他の自治体に比べて公費負担が足りない。若い世代をもっとフォローすべき」と話した。
今回は少子高齢化対策と観光振興を念頭に持論を述べる候補者が多かった。現職のうち最多得票の室伏重孝氏は「町の人口が1日0・9人ずつの割合で減っている。若者定住を図るなどして歯止めをかけねばならない」と語り、五輪誘客について「外国人観光客だけでなく国内観光客に対しても力を入れるべき」と話した。次いで得票の多かったのは6期目を決めた原田洋氏。「人口増といってもすぐ大きな工場が誘致できるわけではない。特に観光を主体に、若手が働きやすい環境を整備して人口増を図るしかない」と話した。