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約20時間で外輪山1周

スポーツ

公開:2018年6月22日

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真っ暗な旧街道を下る3人
真っ暗な旧街道を下る3人

 箱根の山登りと言えば明神ヶ岳か金時山を目指すコースが有名だが、湯本から明神〜金時〜湖尻〜三国峠〜湯本に下る「外輪山1周」を踏破した人は町内でも珍しい。梅雨入り前を見計らい箱根ビジターセンターの加藤和紀さん(31)・県職員の辻本明さん(50)・町職員の佐須秀人さん(36)が1周に挑戦。行脚の一部を垣間見た。

湯本駅・午前3時

 湯本駅のスタートは午前3時。おにぎり3個ほどを買い込み、暗い道を明星ヶ岳方面へ登り始めた。塔の峯で日の出を迎え、明星ヶ岳(923m)、明神ヶ岳(1169m)に登頂。上り下りを経て10時に金時山(1212m)に到着、普通の登山者ならここで下山という所だが、3人にとってはまだコースの半分にも達していなかった。

金時山はまだ序盤

 御殿場側の乙女峠や長尾峠、黒岳(1018m)をぐるりとまわり、午後2時にコースの約半分と言える湖尻峠に到着した。3人の脚はすでに泥だらけで、下りの階段で顔が歪んだ。「膝がピキッと痛む」「足の裏が痛い、靴下を脱ぐのが怖い」。真夏のような日差しで、眉間のしわが際立つ。スタートから11時間が過ぎていた。

 3人はスカイラインに沿うように三国山(1101m)を過ぎ、道の駅を経て箱根関所方面へ。そして最後の難所・屏風山(948m)に向かった。その名の通り、登山道は壁のように傾斜がきつく、2段めが胸の高さという階段も。頂上は木々に囲まれ、眺望はなかった。

足裏が焼ける感覚

 一行は甘酒茶屋に着いた。一歩ずつ曲げられない膝を持ち上げるように歩く姿が痛々しい。その背後に漂うのは、何度も滲んでは乾いたのだろう、むっとする汗の臭い。この外輪山1周を企画した加藤さんは、閉店後の甘酒茶屋横に倒れ込むなり「殺される」とうめいた。辻本さんは「焼けたフライパンに足を載せるよう」。そして「誰かがやめようと言えば、すぐやめる」とも。食料もほとんど食べ尽くしていた。湯本まではまだ約7Kmが残る。

この道は、師匠の道

 その後も3人は湯本に向かい暗闇を歩き続けた。今回の日程は、箱根のパークボランティアだった澤里幸吉さん(故人)の命日に合わせてあった。箱根の登山道補修に関わってきた3人にとって、澤里さんは登山道の補修のイロハを教えてくれた師匠。つらい登山道も、その多くは澤里さんが補修に関わったという。愛用していた補修用具はビジターセンターに寄贈された。「こうやって歩いていると、澤里さんを思い出します」(辻本さん)。

 旧街道の石畳は滑りやすく、転ぶと痛い。須雲川では幻想的なホタルの光に出会ったものの、精気を失った3人の感想は「早く街の光が見たい」。日帰り温泉で休憩し、湯本駅に着いたのは日付が変わりそうな11時半。スタートから約20時間が経っていた。



 ※箱根外輪山一周は、トレイルラン(山野を走る)の世界では「できて一人前」とも言われるコースで、今回のコースとは異なり鷹巣山や湯坂道を通る人もいる。途中下山しやすいとも言われるが、挑戦する際は経験者とともに、食料やサポートなども万全な状態で臨む事をお勧めしたい。

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