子ども達と凧糸で繋がる 湯河原の青少年指導員今年も凧作り教室
「糸を握って走る子どもの顔は被災地も湯河原も同じ」
湯河原の正月の風物詩、凧づくり教室が8日夜に町内2カ所で開かれた。「彦一凧」と呼ばれる丸い翼が尻尾のようについたユニークな凧で、40年ほど前に千葉県の里村彦一氏が考案したもの。理由は定かではないが、湯河原では30年以上前から凧作りが正月の伝統になっている。材料は鍛冶屋地区の竹。これを糸で組み、障子紙を張ってゆく。完成まで2時間を要する複雑さだが、青少年指導員たちが師匠となって子ども達の手さばきを見守った。
昨年10月、これとまったく同じ形の彦一凧が、宮城県石巻市のグラウンドに舞いあがった。会場のグラウンドは震災の犠牲者の仮埋葬場だった場所で、震災から半年後にすべての遺体が荼毘に付された。「グラウンドが再び交流の場としてオープンする晴れの日に、この凧を揚げよう」。当時石巻を訪れていた湯河原の青少年指導員・小澤健一さん(47)が現地で活動する仲間と意気投合、これに西湘地域の指導員仲間60人が加わり、観光会館で30枚を作り上げた。「走り回る子の横顔は湯河原も石巻も変わらない。珍しいのか、飛び回っていましたねぇ」と小澤さんは目を細める。
湯河原町でこの正月に作った70人分の凧は、子ども達が絵を描き入れ、19日に旧湯河原中のグラウンドで舞い上がる予定だ。