箱根・湯河原・真鶴版 掲載号:2017年10月20日号
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「インドア・ローイング」の国際大会に日本人でただ一人出場した藤田 直子さん湯河原町鍛冶屋在住 53歳

朗らかに、漕ぎ一筋

 ○…ボートのような専用のトレーニング機器に座って漕ぎ、決まった距離設定に到達する速さを競う「インドア・ローイング」。この夏、唯一の日本人選手としてポーランドで開かれた国際大会に出場した。世界で目の当たりにしたのは、倒れこむまで自分自身を追い込む選手たちの姿だった。日本とは違って海外では競技人口は多く、自身はクラス最下位だったのに観客からはサインを求められた。「いつか世界記録には到達したいですね」。壁となっている約1分間を削るため、自宅での2時間の漕ぎを日課にしている。

 ○…横浜市出身。父の仕事が海運関連だったことが、その後を運命づけていたのかもしれない。高校生の頃に「船の大学がある」と東京商船大学(現・東京海洋大)を紹介されて進学。大学ではコンテナ船について研究し、貨物の海上での揺れや湿気などについて企業に聞き込んだ事もある。当時そそいだ情熱を思い出しながら「学んだことが全く活かせてない」と苦笑い。大学は体育会系な側面もあり、卒業するには2時間の海上遠泳が必須だった。部活はボート部に入り、櫂を手にしたのが今のローイングにつながった。当時の全日本選手権(一人乗りボート)では5位に入賞し、今でもコーチとして暇さえあれば部の練習を見守る。

 ○…部の先輩だった夫・敬さんと結婚し、16年前に海山に囲まれた湯河原に移住した。普段はパソコンを使った印刷物のデザインなどを手掛けている。20年前にボート部の会報を作り始めたところ「趣味に毛が生え」いつしか「手に職」になった。練習以外の趣味らしいもの、そう言って手にしたのは大型のカメラ。望遠レンズでボート部の後輩たちを収めている。自作の写真誌をめくると小声で「これが息子」。長男・聡平さんは親の背を見ていたのか、同じ大学に入り同じボート部に。懸命に漕いで生じた大波小波が、今の暮らしを織りなしている。

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