「公害」「ギャンブル」といった負の代名詞がつきまとっていた川崎のイメージが最近様変わりしているという。
立役者の一人が、川崎市観光協会の斎藤文夫会長だ。長年、「観光・文化の誉れ高い街に」と尽力。「郷土愛」をキーワードに川崎の観光を盛り立ててきた。斎藤会長にこれまでの取り組みとさらに魅力ある街にするアイデアについて聞いた。
「確かに川崎市は、京都や奈良のような世界に誇る神社仏閣がたくさんあるわけではない。そうした街で観光を盛り上げるには『郷土愛』が大切だ」。斎藤会長は力を込める。郷土愛があれば地域の誇るべき観光資源を発掘することができ、それを情報発信できるという。一例が自宅のある旧東海道だ。「かつてはその存在すら知らなかった地域住民が多かった」と斎藤会長。縁の詩人佐藤惣之助の碑を建立したり、市制80周年の際には「大川崎祭り」を開いて光を当ててきた。観光協会空白区に協会を設立したのもそうした取り組みを全市に広げるため。「今では文化度の高い催しを競い合って開いている」と手ごたえを感じている様子だ。
今後、市内の観光・文化を成熟させるためには「南北交流が必要」。そのためにも交通インフラの整備が重要だと説く。さらに、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて外国人観光客の誘致も重要だと指摘。「例えば、日本民家園。向ヶ丘遊園駅から民家園まで距離がある。そこを駕籠で運べば喜ぶよ。外国人は口コミで川崎を訪れる人が多いから話題になる。将来の観光を語るには大きな夢を描かないと」
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