先端が細く尖ったカッターナイフをペンのように持ち、撫でるように紙に這わせていく。手がスッスッと動くたびに黒紙からひとつの形が生まれてくる。まるで手品師のようだ。
菅野戸呂在住の切り絵画家「きりえや」こと高木亮さんの作品には物語性がある。兎や猫、猿、宇宙人などのオリジナルキャラクターは愛らしさの中にも哀愁を感じさせどこかノスタルジックだ。
作品を早くから見出し、ポストカードの販売をしてきた「カードガーデンメモリーズ」(青葉区)の村松庫造さんは、高木さんの作品を「奇抜さを狙わず奥深い。派手なアートが多い中、渋みのある画風は貴重」と評する。実際、独特な世界観が若い女性を中心に共感を呼んで「じわりと人気が広がっている」という。
「小さな頃に見た東君平(ひがしくんぺい)さんの作品がきっかけで切り絵に魅せられた」と話す高木さん。素朴で温かみのある画風が忘れられず、武蔵大学人文学部在学中に独学で始めた。見よう見まねで学内の自治会通信の表紙を描いたところ、周囲から好評を得たという。
10年ほど前から「自分が良いと思えるものを、良いと思える形でお客様に届けたい」と思い「きりえや」の活動を開始した。現在ではポストカードのほかにも絵本や漫画、かるたと幅広く展開。国内だけでなく、アメリカでもグリーティングカードが販売されている。
「もっと多くの人に作品を見てもらうのが夢」と話す。 作品はHPやアートショップ「アートラッシュ」(代官山・今月17日まで)、「箱根彫刻の森美術館」(2月1日まで)で購入できる。
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