川崎市役所本庁舎の建て替え工事の事業者が決まらず、事業費等で38億円の支出増が見込まれている。近隣ビルへのテナント貸借料として毎月約7千万円が発生しており、市は入札条件を緩和するなど対策に着手。来庁者の利便性を早期に改善したいとしている。
市は今春、新庁舎建設の事業者を入札方式で公募。条件を満たす事業者が決まらなかったため、完成は少なくとも11カ月遅れる見込みとなった。建て替えに伴い、市は本庁舎での業務を、市が所有する既存の3棟と周辺の民間ビル8棟に部署を分散して対応。民間ビルの貸借料は、11カ月分で合計7億7千万円にのぼる。各部署の機能が分散されたことにより、職員の業務効率への影響や、来庁者への負担増が課題とされてきた。
建設コスト高騰
事業者が決まらなかった理由を、市は「オリンピック特需による建設コストの高騰や、(見積価格が高値のまま下がらない)高止まり、物件の特殊性が原因」と分析。設計を見直したが値上がりした工事費や消費増税分は補てんできず、工事費は当初予定から30億円増額。440億円を見込む。テナント貸借料を含めると、支出全般で約38億円増える見通しだ。
来年1月の再入札に向けて、市はJV(共同企業体)だけでなく単体企業も参入できるよう条件を緩和。リスク要因を減らそうと、着工前に地下解体工事を先行して進めている。市は「最短で来年3月末着工、23年3月末の完成を目指す」との方向性を示す。
新庁舎は地下2階、地上25階。当初は今年6月末に着工し、22年4月に完成する予定だった。
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