ゆず製品で障がい者支援 川崎授産学園
調理場に広がる甘酸っぱい香り。ボールにはたくさんのゆずが積まれ、割烹着を身に付けた作業員らが黙々と皮を剥いでいく。
区内細山の社会福祉法人セイワ川崎授産学園では12月から1月にかけて、ゆずを加工した製品作りがピークを迎える。ゆずの多くはジャムやシフォンケーキなどに加工される。いずれも調理するのは同学園で働く障がい者らだ。
同学園では就労支援事業の一環として、06年から障がい者の雇用支援に力を注いでいる。外部から一般就労を目指す障がい者を募集し、非常勤職員として雇うことで社会経験を積む機会を設けている。業務は加工から包装、販売まで様々。彼らをサポートする支援員と共に業務にあたる。
支援員として一緒に働く小間久江さんは「毎日出社することや作業服に着替えることなど基本的なことを身に着け、社会に出る前の第一歩として経験を積んでほしい」と期待を寄せる。
使用するゆずは区内細山や千代ヶ丘、黒川の農家で採れたもの。時には障がい者らが自ら現地まで摘みにいくこともあり、地元農家と交流するきっかけにも一役買っている。
出来上がった商品は学園の敷地内にあるログショップ「ゆめ」で販売される。当初は100個ほどの販売だったが、購入者の口コミやゆずブーム、新聞での紹介もあり、現在は約3〜400個が売れるまでになった。中には横浜市から1時間かけて買いに来る人もいる熱烈なファンもいる。
こうした根強い人気を受けてか、真心込めた製品には作り手の並々ならぬ愛情が込められている。
ゆずの加工に携わっている作業員からは「買ってくれる人の事を思い浮かべながら作っています」という声や「ゆずの産地により甘さや酸味が違うので、バランスが重要なんです」といった声が聞かれた。
小間さんは「今までは学園を通り過ぎていた人々がこうしたゆず製品などを通じて、少しでも障がいに理解を持ってくれれば嬉しい」と話している。
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