旧武蔵工大研究炉 廃棄物受入れ先決まらず 住民理解求め情報公開も
麻生区王禅寺にある東京都市大学原子力研究所(丹沢富雄所長)は04年に廃止措置に入った研究用原子炉1基を保有している。廃炉作業で出た放射性廃棄物の受け入れ先決定を待つ同研究所を取材した。
東京都市大学原子力研究所(旧武蔵工業大学)は最大出力量100キロワットの研究用原子炉を1基、保有している。この研究炉は昭和34年、放射化分析や医療放射の研究などを目的に市内初の研究用原子炉として設置されたが、1989年に軽水炉の水漏れ事故の発生を受け停止。近隣住民などから再開の理解を得られず、04年に廃止措置が開始された。
使用済み核燃料は06年、米国の施設に輸送され現在炉の内部は空洞になっている。炉を解体するときに出た放射性廃棄物は、放射線量に応じて分別され、遮蔽コンテナやコンクリートに詰められた状態で施設内に保管されている。最大で毎時20ミリシーベルト(04年計測)の部品が保管されているという。丹沢所長は「ただ、施設周辺の線量は自然放射線量に準じる程度」と話している。
廃炉措置の決定から7年が経つが、作業は難航している。部品などの放射性廃棄物の受け入れ先が決まらないためだ。「国にも要望を出しているが、法の整備などを待っている関係で中々前に進めないのが現状だ」
震災や原発事故の発生以降は同研究所にも「福島第一原発のような事故を起こす危険はないのか」などという市民からの問い合わせが寄せられているという。
住民からの声には「幼稚園の土の線量を測定して欲しい」「収穫した穀物の線量を計ることはできないか」といったものもあった。現在は可能な範囲で対応を行っているという。
震災後の様々な反応を受け同研究所では「今後も市を通し、情報の公開を進めていきたい。いずれは施設を開放し、学外の研究者も使えるようにすることを考えている」と話している。
液体廃棄物処分場の解体工事も
同研究所は文科省の認可を受け、今年9月から研究所敷地内にある液体廃棄物処分場の解体撤去を開始した。廃炉以降は液体廃棄物の排出がなく、不要となったためだ。
同研究所はHP上で工事開始前と工事期間中の線量や、廃棄物処分場解体工事の進捗状況について公開し、毎月更新している。線量は月末に測定され、順次公開される予定だという。
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