川崎の郷土野菜「のらぼう菜」の品質向上と生産の安定化を――。川崎市と明治大学、神奈川県がこのほど、のらぼう菜に関する共同研究の契約を締結した。よりよい味にするための栽培マニュアルを作成し、研究結果を生産者に還元することで、地域の特産物として確立をめざすという。
のらぼう菜はアブラナ科に属する野菜で栄養価が高く、甘みがあるのが特徴。鎌倉時代に川崎に持ち込まれ、江戸時代におきた天明・天保の飢饉を救ったといわれている。多摩区菅地区で古くから栽培され、今では川崎北部を中心に市内に広がっている。
麻生区は市内一の栽培面積
麻生区では、栽培面積10642平方メートル、生産者数67人で、ともに多摩区を上回り、市内トップを誇る。収穫量は9・99tで市内2位(数字は2013年1月1日現在)。農家の軒先販売や、区内黒川にあるJAセレサ川崎「ファーマーズマーケット セレサモス」などの直売所での売れ行きは好調なものの、市場やスーパーマーケットでの販売は少ない。そのため生産量や品質の安定に関して課題があったという。市の担当者は「のらぼう菜の人気に収穫・生産が追いついていない。しおれやすい性質もあり、現状では直売所で購入するのが最もいい状態だろう」としている。
共同研究を実施するのは、川崎市農業技術支援センターと明治大学農学部農学科野菜園芸学研究室と神奈川県農業技術センターの3機関。▽栄養分析や品種系統の解析を通じたより食味の良い系統の選抜▽栽培条件や方法の違いによる生育と収量への影響の解明▽しおれやすい性質への対応を含んだ鮮度保持▽統一の品質基準を設定し栽培マニュアルの作成――に取り組む。研究実施期間は18年3月31日まで。市の担当者は「一般消費者の方が購入できる機会を増やして、野菜としての魅力を伝えていきたい」と話す。市は発明や研究成果などの知的財産の管理運営を徹底するため、川崎市農業技術支援センターの知的財産ポリシーを策定した。全国の市立農業試験場としては初めて。共同研究の促進や職員意識の向上から新たな創造へとつなげることが狙いという。
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