「啓発落語人」として振り込め詐欺防止などの呼びかけを各地で行っている 夢見亭 わっぱさん 川崎市在住
「声枯れるまで 声掛るまで」
○…振り込め詐欺などの特殊犯罪防止の噺を各地で披露する「啓発落語人」として20年過ごしてきた。拠点は川崎市内だが、お呼びがかかれば全国どこでも赴くスタイルで今では年間100〜150本ほど創作落語などを披露している。「高齢者の方たちに普通に『オレオレ詐欺に気を付けて』って言うよりも落語で伝える方が聞き入れてくれることも多いんですね」とその効果を実感している。
○…横浜生まれ。中学の時、新宿末廣亭で観た立川談志に衝撃を受けたのがこの道に踏み入れたきっかけ。「小気味良い毒舌を混ぜながらも噺は分かりやすいし、とにかく大笑いして頭が真っ白になる経験でした」と当時を懐かしむ。カセットを聴いたり高座へ出向いたりと、社会人になっても熱は冷めなかった。「気づいたら幾つもの噺を話せるようになっていたんですよ。そうなると今度は人前で披露したくなったんですね」。30代の時、自ら売り込んで川崎市内の老人ホームで「時そば」「寿限無」などを披露して以来、二足のわらじで活動してきたが軌道に乗ってきた5年前に落語一本の生活に切り替えた。
○…現在は妻と2人暮らし。名作洋画や相撲などを楽しむというが、気づくと落語の世界に出てくる事柄などを調べ出してしまう癖が抜けないと笑う。かつては小学生だった息子との親子落語で注目を集めたが「テレビで紹介されたりもしたんですが、中学生になって、人に笑われるのが嫌だって言って辞めちゃいました」と普段の話の中でも落ちを忘れない。
○…「落語の世界は定年が無いので、気持ち的には声が出る限り、呼ばれる限り続けたい」と笑う。啓発落語は笑いながら為になる一石二鳥が大きな魅力。「小さな活動かもしれないけど継続していくことで、一人でも被害を未然に防ぐことが出来る人が増えれば本望ですね」。3月9日には麻生区役所で振り込め詐欺防止落語を披露する。
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