地域包括ケアがカタチになるために 〜後編:未来を考える〜 川崎市議会議員 月本たくや
1年が経った川崎市での地域包括ケアシステムの取り組みについて、先週は現状や課題を語りました。今回はその先のことをお答えしたいと思います。
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前回の課題を踏まえ、未来のための方針は?
いきなり地域包括ケアシステムを根付かせるのは難しいわけですが、地域包括ケアシステムの基本的な考え方は、福祉教育の場から身に付けていく必要があります。そこで、ライフステージに合わせ福祉教育の機会をつくることが重要です。
年代はどのように分けるべきでしょうか?
子どもたちから中高年までの間に様々な角度から考えていくことが必要です。言い換えれば、各ライフステージで何が必要か、何を考えておかなければいけないか、それぞれの年代に合わせて考えていくきっかけを作らなければいけません。
そこで、義務教育から高等教育までのいわば学校へ通う機会に授業で受ける福祉教育と、社会人になってからどのような機会を設定していくかという、大きく2つに分けて考えます。
学校教育での福祉教育は?
川崎市立小学校の中には、福祉の副読本の活用による福祉教育が行われているケースもあります。ただ、総合的学習の授業で使用している事例が主であり、すべての児童が学んでいるわけではありません。そのため詳しい実態が分からない状況で、今後、教育委員会が調査していくということですが、こういった教材の活用による効果を検証していく必要があります。
そして小学校だけでなく、すべての児童・生徒がライフステージ教育や福祉教育を身に付けていくように進めて行くことが大切です。
社会人への福祉教育はどのようにするか?
学校に通っている間と違い、社会人として学ぶ機会というのは皆無に等しいと思います。そこで私は、最近耳にすることのある「健康経営」をキーワードに対策を考えることを提案しています。
経済産業省では「健康経営銘柄」を示す取り組みがなされていますが、これは大企業についてが主です。中小企業は、日々の業務に追われ、「健康経営」の視点で率先して取り組む可能性は低いと言えます。
そこで、行政が「健康経営」のメリットを示し、中小企業を支援していく必要があります。ニーズがなくてもトレンドをリードしていくのが「健康経営」の大きな役目でもあります。
例えば、企業が従業員の健康面でのケアが出来ていたり、離職率が低かったりというポイントが企業の魅力につながっていきます。そのような機会を、市としてバックアップしていくことが、市内の労働力確保にもつながります。
地域包括ケアシステムがしっかり機能するためには、多様なサービスを理解するだけでは足りません。サービスの選択をする上で、何が最適かを考えられるように、まずは一人一人に情報や意識を伝達していくことが重要なのです。
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