今年75歳になった西村颯香さんは4月から田園調布学園大学の大学院に通い、福祉について学んでいる学生の一人だ。
大学院の人間学研究科で学んでいるのは、子どもと高齢者の世代間交流によってもたらされる相乗効果など。「施設にいるおじいちゃんおばあちゃんが、訪問してきた子どもたちとふれあうことで元気になっていく様子は実感していましたが、子どもの方はその時にどう感じているんだろう、高齢者も本当に元気になっているのかなって興味を持ったのがきっかけです」と西村さんは話す。
福祉学び地域に還元
23年前、交通事故に遭った夫を介護するも8年後に他界。悲しみを乗り越えて進んだのが「福祉を学ぶ」という道だった。専門学校に通い始め、2年後の2005年に同大の人間福祉学部に3年生として編入し、子どもから高齢者、精神など福祉全般を学んでいった。大学卒業後は「介護予防」の重要性を実践するために宮前区の自宅を開放し、ボランティアによる高齢者ミニデイサービス「ふれあいサロン・さつか」を設立。地域の仲間と高齢者の拠り所を提供している。「他の人がしないことで地域に貢献したい。皆さんに喜んでもらったことがいつか自分にも回りまわってくることがあったら嬉しいじゃない?」と西村さんは笑う。
目標見据え日々を有意義に
「見たい所や食べたい料理があれば仲間を誘って訪れます」。大学院に通いミニデイサービスの運営に加え、新生児の母親訪問、老人いこいの家の実施委員といったボランティアに動き回りながらも旅行やグルメツアーなど、プライベートも充実させる西村さん。「家でゆったりとかしていられない性格なんです。陶芸や絵画などの趣味で何かを作る代わりに私は知識や経験を貯めていきたい」。
学ぶことにボランティア、趣味の旅行など全ての行動の基にあるのは「感動の追及」だという西村さん。知的欲求を満たし、喜ばれる活動や旅行先の風景、美味しい料理などを感動として吸収していくことが日々の活力に繋がっている。
最近は市内外で講演を依頼される機会も増えており、そこで伝えているのが「60歳を楽しみたいなら50代を頑張る、70歳だったらその前を頑張る。先の目標を考えながら毎日を有意義に暮らすことが元気になる秘訣だと思うんです」。
自身の目下の目標は、大学卒業当時に取得できなかった「社会福祉士」資格への再挑戦。少し先も見据えた日々の行動も元気の源となっている。
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