川崎・しんゆり芸術祭(アルテリッカしんゆり)2019の実行委員長を務める 下八川 共祐さん 昭和音楽大学理事長 76歳
新しい10年を踏み出す
○…昨年10回目を迎えた芸術祭、アルテリッカしんゆり。次のステップの始まりとなる今年度から、実行委員長を務める。同祭には10年前から携わっており、「まだ世に出ていない人を見つけるのも役目の1つ。地元出身の優秀なアーティストを川崎でデビューさせることができるのは嬉しい」と顔ほころばせる。
○…高知県出身。戦後、発展する状況の中で育ってきたが、「性格はニヒルっていうのかな」と同世代の学生運動に対しては付和雷同しなかったという。父でオペラ歌手、圭祐氏の元、幼い頃から劇場でオペラに親しむも「正月に家族が集まる中でも勉強をする父の姿を見て、歌手になろうとは思わなかった」。一方で「学生時代に趣味で通った歌のレッスンは楽しかった」と振り返る。1969年に父と昭和音楽短期大学を厚木に開学。84年の大学化には人脈や国との交渉も必要だったが、短大とともに携わってきたオペラ団体「藤原歌劇団」の運営で培った手腕を発揮。人生の大半は音楽振興に関わってきた。
○…新百合ヶ丘に大学のキャンパスを移転し、まもなく12年。麻生のまちは「地域の人に演奏を聞いてもらう環境にも恵まれている。学生にも緊張感が生まれ、こんなにありがたいことはない」。金程在住で柿生や百合丘の店に飲みに行くことも多く「昔の感覚があるところがいいね」。
○…同祭の公演のほとんどを実行委員会が企画する。「実行委員の発想力はすごい。私は面白い企画に飛びついているだけ」と歯を見せる。運営を支えるボランティアは200人を超え、3万人近くが来場する。「地道に作りあげてきたから続くのだと思う。これから10年に向け、企画者もボランティアも若い力を取り入れたい」。新しい一歩は踏み出したばかりだ。
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