麻生区在住の奏者らによる市民団体「三曲あさお」が、8月5日(月)に最後の定期演奏会を麻生市民館で開催する。演奏会では体験教室に参加する子どもも成果を披露。同会は今後、次世代育成に力を入れていく。
三曲は、三味線、箏、尺八の音楽の総称。三曲あさおは1990年に結成し、麻生音楽祭や定期演奏会などで合奏を披露してきた。元々、三曲の楽器は先生について稽古するのが主で、聴衆を集める演奏会はほとんどなかったという。会長で尺八奏者、製作者の船明(ふなぎら)啓耳さん(65)は「地元の奏者を集めて、一般の人にわかりやすい演奏をしようと結成した」といきさつを話す。定期演奏会ではプロジェクターで絵や歌詞の映像投影や朗読を取り入れ、視覚でも楽しめるよう工夫する。
結成から約30年、精力的に活動を続けてきた三曲あさおだが、会員の高齢化が進む一方で、若い世代の入会がなく世代交代できていないことが課題だった。そこで、同会主催の定期演奏会は切りのよい25回目で終わらせることに決めた。会員からは「まだできる」という声も挙がったが、船明さんは「平成の間にやりたいことはやりきった。ホールでの演奏会は一旦締める」と決意は固い。
「子どもに邦楽体験を」
一方で未来に向けた動きも。「子どもたちに伝統文化を受け継ぎたい」と、同会は文化庁伝統文化親子教室事業に応募し、今年の夏休みに区内の小中学生を対象とした体験教室を実施。今年は12人が箏、4人が尺八に挑戦し、5日の演奏会で「さくらさくら」を発表する。船明さんはカリキュラムや教科書も作成し「1週間で音を鳴らせるようにはなる。子どもたちには遊ぶみたいに邦楽器を体験してほしい。今回上手くいけば来年もと思っている」と笑みを浮かべる。
終わりと始まりの大合奏
三曲あさおの会員約30人の流派はさまざま。同じ楽器でも流派が異なると奏法や楽譜も変わるため、一曲を合奏するのは大変なことだった。それでも、互いの流派の勉強や楽譜の書き直しを重ね一緒に奏でてきた。今回、最後の演目で「ともしび三章」を大合奏。「寂しさのある、この曲を持って『次世代に受け継ぎます』という思いを届けたい」と船明さんは語る。
演奏会は同館大ホールで、開演は午後2時30分(開場は30分前)。入場無料、直接会場へ。問合せは船明さん【電話】042・708・8377。
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