阪神・淡路大震災でのボランティアをきっかけに地域防災に取り組む 矢野 淳一さん 高石在住 66歳
シナリオ変えるのは自分
○…下麻生の地域活動支援センター「NPO法人アルデンテ」の代表理事を務め、被災地支援や自身が住む高石をはじめ麻生区の地域防災に取り組んでいる。「被災地になったら元に戻れる保証のない生活が始まる。大きな災害が起きていない麻生だからこそ、あらゆる想定をしながらできることがある」と語る。
○…美大時代からドーム型遊具やいかだ、ゴム動力車などを三層段ボールで制作し、20年ほど活動。1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生。発災から10日目、被害が激しかった神戸市長田区真野地区から「段ボールで家具ができませんか」と依頼があり、現地へ。物であふれ返る避難所で少しでも快適に過ごせるよう、仕切りや収納として段ボール製の棚や机といった家具を作り、ノウハウを被災者に教えた。テント生活をしながら7カ月活動し、「まちは長屋みたいなもので、まちづくりに近隣との関係が欠かせない」と気づきを得た。
○…震災のボランティアから「潮目が変わり」、麻生区に戻ってからは自身が住むまちの課題解決に奔走。近隣住民と協力し、自宅近くの私道の公道移管を果たした。「お隣と協力して変えられるんだ」と実感した。「アルデンテ」では、補充と消費を繰り返し一定の食糧を備蓄する「ローリングストック」を実践。冷凍保存のカレーを作って備蓄し、東日本大震災の被災地や区内の夏祭りなどで振舞っている。
○…高石での生活は約30年。地域の祭りでは、「野次馬みたいなもの」と笑いつつ、防災マップを貼り出して避難所のアンケートをとるなど住民に防災意識を問う。「住民自身が、住む地域に何を望むかがすごく大事。自分たちで希望するシナリオを作っていい」と確かな芯をもって語る。
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