川崎市は今月、市内農家が収穫した作物を使った酒類醸造が少量から可能となる「かわさきそだちワイン特区」認定申請を国に対し行った。今年度中には特区認定される見通しで、市はご当地ワインの製造を農業活性や農家の所得向上につなげたい考えだ。
市が申請したのは、酒類製造免許の条件となる「最低数量6千リットル」(年間)を適用しない特区。認定後、市内の農家は所有する加工施設で収穫果実を使った酒類製造が可能となる。運営する飲食店や宿泊施設という条件は付くが、農家が自家製ワインなどを提供できるようになる。
ワイン特区の必要性について市は農業者に聞き取りを行い、麻生区や多摩区など5軒の農家から果実酒製造の意向を確認。提供施設を確保していない農家もあったが申請に踏み切った。
市経済労働局関係者は「果実酒の製造が進めば特色ある川崎の都市農業を発信することができる。観光農園としての来訪者が増加すれば所得向上も期待できる」と話す。特区申請は国と調整しながら進めてきた経緯もあり、今年度中には認可が下りる見通し。市は4月から農業者向けに広報や周知を行い、2025年までに3件の製造施設を生みたいとしている。
魅力伝える手段に
区内岡上の農業生産法人カルナエストの山田貢代表取締役はこれまで収穫したブドウを市外の醸造所でワイン製造してきた。2年ほど前から市に川崎産ワインづくりの相談を行っており、特区認定後は醸造施設づくりにも乗り出すという。山田代表は「市内は丘陵の農地が多く果樹栽培に適している環境。ワインづくりが目的ではなく、川崎の魅力を発信する手段の一つとして活用したい」と話している。
市が申請中の特区は、果実酒の提供が農業者保有の施設のみで提供可能な限定的なもの。瓶詰めでの加工品販売や農業者以外の果実酒製造には、年間2千リットル製造などの条件が付く別の特区認定が必要となる。同局関係者は「かわさきそだちワイン特区の活用を進め、意向があれば次の特区申請も考えたい」と話している。
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