川崎市立柿生中学校内にある「柿生郷土史料館」が来月、開館から10周年を迎える。郷土の歴史的資料を地域や学校教育で活用することや、文化発信の場として設立。地域と学校の連携によりできた唯一無二の博物館だ。
同館は、柿生中の校舎改築に合わせて2010年に新設された。黒川や早野を含む旧柿生10カ村や岡上地域などで見つかった文化遺産を展示公開。一部の土器や教科書などには実際に触れることができる。
設立者の1人で、元柿生中校長の板倉敏郎さん(70)は、「柿生は歴史の深い地域。校舎の建て替え話が進んでいく中、博物館をつくってほしいという声が地域の方から多く集まった」と振り返る。板倉さんは行政との交渉、麻生区観光協会会長などを務めた小島一也さん(故人)らが地域をまとめ、連携しオープンに尽力した。
地元寄贈品を展示
展示品は、地元住民からの寄贈も多い。約60年前に宅地造成が行われたときに発見された土器や石器だ。「当時地元の学生だった方々が大切に保管されていた。郷土の歴史にずっと興味を持っていたのだと思う」と板倉さん。校内にあることに関し「公立校で、学校に博物館があるのは全国でも珍しい。小中の子どもたちには先祖たちが培ったものをどんどん活用してほしい」とも語る。
史料館は、支援委員という24人の地元ボランティアによって運営。開館作業以外にも、特別企画展や専門家によるカルチャーセミナー、史跡見学バスツアーなどを企画実施してきた。支援委員長の原慶應さん(70)は「史料館を通じて、いろいろな歴史に触れることができる。そんな史料館が地元の人によって守られている」とやりがいをにじませる。
一方、コロナ禍でこれまで行ってきたセミナーやイベントは開催できない状況だ。「落ち着いたらやってきたことを復活し、住民には郷土に関心を高く持ってほしい」と原さんは話している。
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