早野の農園「スローファーム」で先月からイチゴ狩りが始まっている。産地と消費地が近い都市農業ならではの取り組みで「暮らす場所で採れた、完熟のイチゴを味わってほしい」と園主は話している。
同園は、片平在住の安藤圭太さん(34)が早野の休耕地を借りて昨年オープン。2棟あわせて3000平方メートルあるハウスで、1万5800株を栽培する。イチゴ狩りでは「紅ほっぺ」「とちおとめ」「おいCベリー」「もういっこ」の4種類を時間内に楽しめる。栽培方法にもそれぞれ特徴があり、「全然味が違うので、ぜひ食べ比べてみてほしい」と安藤さん。
オープンした昨シーズンは、感染症の流行で中止を余儀なくされたこともあった。今シーズンは開始当初から事前予約制と人数制限、イチゴを採る場所と食事場所を分けるなど対策を実施。横浜上麻生線近くの農園には、近郊のファミリー層が多く来場している。今月家族と訪れた上麻生在住の女性は「家の近くでイチゴ狩りができるなんて驚き。どの種類も甘くて美味しかった」と感想を話した。イチゴ狩りは5月末まで行う予定だ。
スーパーには並ばない品
約10年の会社員生活を経て、3年前に家業を継ぎ就農した安藤さん。川崎市内にイチゴ農家は10軒あるが、安藤さんがイチゴに着目したのは、産地と消費マーケットが近いために完熟イチゴを楽しんでもらえるから。安藤さんによると、一般にスーパーなどで手に入るイチゴは完熟前に出荷されることもあり、糖度は10度ほど。同園では赤く熟したイチゴを食べることができ、糖度は18度までのぼる。「18度まで高くなると熟しすぎて輸送には向かずスーパーに並ばない。完熟が提供できるのは、産地が近い農園ならでは」と胸を張る。
イチゴはケーキや加工品などの需要も高く、収穫物は区内菓子店や飲食店にも卸されている。園内でも今後、加工品を開発したいと考えている。
「豊かな食生活を」
園名は、大量生産・大量消費を象徴する「ファストフード」に対する「スローフード」に由来。安藤さんは「川崎は農地もあり『食』と『住』が近い場所。商品を通じ豊かな食生活をつくっていきたい」と語る。
イチゴ狩りは水、土、日に開催。月曜を除き直売も実施。詳細・予約は同園ウェブサイトへ。
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