農業生産法人を経営する山田貢さん(39)=片平在住=がブドウの栽培から醸造まで一貫して岡上で手がけた、初の「川崎市内産ワイン」が先月完成。7月4日には岡上ワイナリーで完成披露と試飲会が開催された。ワインは今月中に区内飲食店で提供を開始する。
麻生区は昨年、果実酒をつくるルールが軽減される「かわさきそだちワイン特区」に内閣総理大臣から認定。この特区内では、特定農業者自らが生産物を原料に最低製造数に関係なく果実酒を製造できる。小売販売はできず、営業する飲食店や民宿のみで提供可能だ。
2017年から外部委託でワインをつくってきた山田さん。特区制度を利用して昨年、果実酒酒造免許を取得。岡上内に設備も整え、収穫して冷凍保存したブドウを使って醸造を始めた。
完成したのは「蔵邸ワイン 岡上ロゼ2020」。ブドウの品種はピノ・ノワールやシャルドネが主体で、醸造数はハーフボトル42本、フルボトル2本。17年のワインがロゼだったことから「自分で醸造するワインもロゼからスタートしたかった」と山田さん。経営するレストランで提供するため、目指したのは「川崎野菜に合う味」。すっきりとした酸味と華やかな香りが特徴だ。
「地域に活気を」
試飲会には近隣住民ら約50人が集まり、三瓶清美麻生区長の音頭で乾杯。以前から山田さんがつくるワインを飲んできた岡上在住の菊池薫さん(65)は「ふわっとフルーティーな香りを感じる。ワインが地域に活気を与えてくれると思う」と話した。
山田さんは「喜んでもらえるか緊張したが、ワインが好評でありがたい」と笑顔を見せ、今後は「今年はブドウの収穫量が見込める。秋には『岡上ヌーボー』の披露や醸造体験もできれば」と見据えている。
市農業振興課の担当者は「地道にワインの生産量が増え、観光資源になっていけば。市内でワインづくりに取り組む人がほかにも広がってほしい」と期待を寄せる。
市内産ワインは万福寺の飲食店「リリーズバイプロメティー」で提供。
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