柿生禅寺丸柿保存会の会長に就任した 宇津木 裕さん 上麻生在住 75歳
誇り持ち名産を後世に
○…麻生区内で約800年前に発見されたという「禅寺丸柿」を後世に残すために結成された保存会。副会長を15年務め、先月付けで新会長に就いた。禅寺丸柿の魅力はなんといっても「甘くてすぐに食べられること」と笑顔を見せる。一方で、毎年つくり続けてきた柿ワインの製造を、イベント中止などの理由で今年はやめることにした。「代わりに、何か新しい加工品を生み出したい」と抱負を語る。
○…上麻生の農家に生まれ、禅寺丸柿も幼い頃から身近だった。農地には約40本の柿の木があり「生活の支えになっていた」と振り返る。懇意にしていた人から誘われ、1995年の保存会発足時にメンバーに。これまでの活動で思い出深いのが2012年に行われた「禅寺丸柿サミット」だ。イベントを行った10月21日は「禅寺丸柿の日」に制定された。歴代会長や会員らが集い、「地元の名産として禅寺丸柿を誇っている姿が印象的だった」。
○…麻生の変わりゆく街並みを見てきた。「水処理センターのあたりも全部田んぼだった。夏休みには竹に囲まれた川で泳いでね」と懐かしむ。スポーツ好きで大学では駅伝選手を目指したが、「速い人ばかりで全然お呼びじゃなかった」と苦い経験も。食品会社に勤めた後は川崎市の消防職員として32年勤務。家で食べる分だけ野菜を育て、夏はキュウリやピーマンの収穫が楽しみだ。
○…今年の禅寺丸柿の出来がわかるのは、8月のお盆のころ。「暑さが続けば実が落ちてしまうし、毎年天候には左右される」と心配は尽きない。柿の販売やもぎ取り体験を通じ「子どもたちに禅寺丸柿を魅力をどう伝えるか、今後の課題の一つ」。134人の会員とともに、地元の誇りを受け継いでいく。
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