柿生の地名の由来とされる「禅寺丸柿」が原材料の「かわさき柿ワイン禅寺丸」が、今年は製造されないことがこのほど決まった。イベントの中止が相次ぎワインの提供場が減ったことや、取り扱う市内酒販店の数が減ったことで余剰在庫が出ているためだ。
「名産品」にも採択
約800年前に王禅寺で発見されたとされる禅寺丸柿。「柿ワイン」は、柿生禅寺丸柿保存会(宇津木裕会長)が1997年から製造と販売を開始した。区内農家が収穫した禅寺丸柿を集め、山梨県のワイナリーで醸造。川崎市観光協会などによる「かわさき名産品」にも認定されている。
柿の収穫量によって年ごとに製造本数は異なるが、2017年には4500本を製造。昨年は夏の暑さが影響して収穫量が少なかったため1000本だった。
今年はワイン製造をしないことは、6月の保存会の総会で決定された。背景には、在庫が減らないことが挙げられる。「柿ワイン」は賀詞交歓会や区民まつり、柿生中央商店会の「禅寺丸柿まつり」など麻生区内のイベントでふるまわれてきた。しかし、悪天候や新型コロナウイルスの影響で一昨年、昨年とイベントが相次いで中止に。今年も区民まつりの中止が決まっている。
販路に苦慮
「柿ワイン」を取り扱う川崎小売酒販組合の加盟店舗数は、販売を開始した頃は800店ほどだったが現在では200店以下になり販路の確保にも苦戦。1800円という販売価格も、「安いワインは1000円で買えるものもあり、価格設定としても売れにくくなった」と保存会の宇津木会長は話す。
区内酒販店の店主は「柿ワインはお土産や正月に家族で飲む用に買う人が多い印象。3、4本まとめて購入する人も多い」とこれまでの売れ行きを語る。「愛着はあるけど、日常的に飲む人が少ないのも影響したかもしれない」と話す。
19年には若い世代をターゲットに初めてスパークリングワインを発売し、新しい取り組みも進めてきたが、収穫量が少なく19年以降は製造に至っていない。
来年以降のワイン製造については未定。柿を使用する新商品の構想や、今年区内で収穫される柿の活用も「まだ決まっていない」と宇津木会長。「いずれはワインに代わるものを生み出したい」と考えている。酒販店やセレサモスの在庫分は販売を継続する。
麻生区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|