川崎市は認知症に関する医療の中核を担う「認知症疾患医療センター」を、市内2カ所から4カ所に増設。かわさき記念病院(宮前区)と市立川崎病院(川崎区)で8月4日、始動した。認知症患者の増加に対して相談窓口を拡充し、早期発見につなげたい考えだ。
市はこれまで、日本医科大学武蔵小杉病院(中原区)と聖マリアンナ医科大学病院(宮前区)に同センターを設置。患者数に伴い増加していた受診、相談の待ち時間への施策として、医療機関を公募し増設が実現した。
今後は聖マリ医大病院とかわさき記念病院は高津、宮前、多摩、麻生の4区と連携。日医大武蔵小杉病院と川崎病院が川崎、幸、中原の3区と連携していく。
市健康福祉局によると、新たに加わった2施設は地域連携拠点としての機能が充実。関係機関や地域住民向けに研修を企画するなど、地域医療の水準向上への取り組みが選定を後押ししたという。市担当者は「認知症に関する不安に対し、相談しやすい環境づくりを目指したい」と意欲的。市内初の認知症疾患専門病院にあたる、かわさき記念病院の担当者は「認知症に関する正しい知識の普及に尽力し、相談環境を整備してきた。地域との連携をより深めながら、認知症診療に貢献したい」との展望を示す。
相談窓口が不足
同局によると、市内の65歳以上の高齢者人口は約32万人(昨年10月1日時点)。うち約5万8千人が認知症と推計され、およそ6人に1人の割合になる。市は認知症高齢者数について、2030年に約8万6千人、40年には10万人に達すると想定している。
市内の認知症疾患医療センターは2012年以降に増設されていなかったが、相談件数は年々増加しているという。
認知症疾患医療センターは早期診断や治療、地域での支援体制のネットワークづくりを目的に設置。合併症への急性期対応、専門的な医療相談などのほか、地域保健医療・介護関係者に研修を実施する。
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