川崎市はこのほど、上麻生の電子機器の設計製造会社・(株)三矢研究所(古澤利夫代表取締役)ら7者と、市内の大規模盛土造成地の地殻変動を衛星システムなどで監視する共同研究を開始した。
今回始まった共同研究は、市が麻生区役所など市内各所にGNSS(※1)連続観測点を設置。市内の大規模盛土造成地にも観測点を設け、GNSS測量と干渉SAR(※2)を統合して解析し、地盤変動を詳細に監視する仕組み。年数回の定期観測により、地盤変動を詳細に監視し、大規模盛土造成地の経過観察に生かす。
市では、2006年から大規模盛土造成地を目視観察などで調査し、優先観察個所を選定してきた。衛星システムを活用して位置座標が算出できるようになることで、地球上でどれだけ変動があったかがわかるようになるという。地上からはドローンや3Dスキャナーも活用してデータを補足。市は今後大きな変動があった際には詳細な調査を進めるとし、担当者は「崩落の兆候を早期に把握できる。民間と力を合わせ、市民の安全安心につながれば」と話している。
ドローンで参画
昨夏、静岡県熱海市で発生した大規模盛土造成地の崩落事故を受け、宮前区の測量会社・(株)日豊が「根拠に基づいた地域のイノベーションに貢献できないか」と観測のデジタル化を市に提案したことがきっかけ。同社と以前から交流があった三矢研究所や清水建設(株)(東京都)、(株)マップル(同)など7者が賛同し、今年4月に市と共同研究契約を結んだ。
三矢研究所は、電子機器の設計・製造販売だけでなく、ドローンの開発・販売を行う。今回の研究では、そのドローンを使って観測地点のレーザー観測と空中撮影に携わる。「ドローンを使った災害時協定を麻生警察署とも結んでいる。ドローンの使い方は多様性があることが分かってきている。熱海のような事故が川崎市でも起こらないよう力になれれば」と古澤代表取締役は話す。
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