「戦争をしないためにしっかり考えて」--。黒川在住の山中聡英さん(57)が5月26日、市立はるひ野中学校2年生の総合学習の時間に平和授業を行った。2010年から毎年同校で講話を行っていた山中さん。新型コロナの影響で3年ぶりとなった。黒川で行われていた学童疎開や戦時中の地元の生活などを紹介し、平和の尊さを生徒たちに訴えた。
毎年、2年生の総合学習の時間を使って、平和学習に取り組んでいる同校。3年生は修学旅行で広島にも訪れている。
山中さんは、地元黒川にある「雲長山 西光寺」の19代目の住職を務めており、同寺が戦時中、学童疎開で子どもたちを受け入れていたことから、同校は2010年から講話を依頼している。
疎開者の思いを
同寺で受け入れていたのは、大島国民学校(現・大島小学校、川崎区)の5年生の男子児童23人。山中さんは、終戦から50年後の1995年、同寺に疎開していた男性2人が寺を訪ねてきた際に、当時の状況や寺での生活について話を聞いた。「戦争は良いことなど何もない。あんな思いは二度としたくない。ぜひこの話を次代に伝えていってほしい」と涙ながらに託されたという。それから山中さんは当時を知る親戚や檀家に話を聞いて回り、資料を集めて勉強を重ねた。
「考えることが大事」
山中さんの講話では、学童疎開についての説明から始まり、麻生区(当時の柿生村)の6寺で150人の児童を受け入れていたことなどを資料を使って解説。西光寺では本堂に寝泊まりし、授業は行わずに掃除や遊んで生活していたこと、当時の食事や地元の人たちの生活、黒川に照空隊の基地があったことなどを紹介しながら、ロシアによるウクライナ侵攻についても言及。山中さんは「戦争をしないために、学び、意見を交わすことが大事。倫理観を持った大人になってほしい」と平和の尊さを訴えた。
話を聞いた男子生徒は「当時のことは想像がつかない。しっかり考えることが大事だということを学んだ」と感想を話した。山中さんは「回を重ねるごとに資料も増え、自分でも平和を考える良い機会。質問も多くあがり、平和は自分たちで考えていくものだと感じてもらえたら」と話した。
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