連載103 子どもを守る安全対策について みらい川崎市議会議員団 こば りか子
令和5年度第1回市議会定例会の予算審査特別委員会で、質疑を行いました。
中学校、緑地等への防犯カメラ設置を要望
先日、埼玉県の中学校で、再び学校の安全対策を問われる事案が発生しました。本市では、平成27年度第4回定例会で私が、学校の門に防犯カメラの設置を求めたことを契機に、防犯カメラの設置が始まり、約8年経過した本年3月1日現在、小学校と特別支援学校は全校、中学校は52校中23校、市立高校には5校中4校で設置されています。埼玉県の事件を受け、あらためて、未設置校に対し「積極的に設置すべき」と指摘したところ、教育長から「生徒のより一層の安全確保や保護者の不安解消に向け、設置について学校及び関係局と協議していく」との答弁を得ました。
また、麻生区は大きな公園や緑地、緑道や農地等が多く、普段から露出狂等不審者情報が頻繁に入るため、こうした緑地や農地等への設置も積極的に進めることを要望しました。
子どもたちの見守りに「わんわんパトロール」強化を提案。麻生区で試行実施へ
昨年末、麻生区内で、児童連れ去り未遂事件が発生しました。これを受け、教育委員会は「PTAに対して見守り等の依頼をする」としていますが、共働き家庭が増えた昨今、保護者にのみ対応を求めることは現実的とはいえません。そこで、「わんわんパトロール」の強化策として、犬用ハーネスと飼い主用の腕章をセットで貸与し、区長から委嘱状を授与して協力を仰ぐプランを提案しました。
市内には、すでに自治会や小学校PTAにより、パトロール等を実施している事例もありますが、個別の取組だけではスケールメリットが得られず効果的とは思えません。本市の犬の飼育数は6万頭になるそうです。犬の散歩は、朝夕晩の時間帯にされる方が多いと思いますが、そのうち約半数に、お揃いのハーネスを着用して子ども達の登下校時間や放課後の時間帯に散歩をしていただく協力が得られれば、3万頭のパトロール犬が誕生することになり、さらに、飼い主の方に「子どもの安全対策の一環としての散歩」という意識を高めていただくことも期待できると考えます。また、担い手が減少しているPTA役員の負担を軽減し、何よりも市として子どもたちの見守りに取組むという姿勢は対外的に大きな抑止力にも繋がり、安全対策として効果的と考えます。
このわんわんパトロールの強化策について、犬の登録件数が1万頭近くいる麻生区で、まずは試行的に実施することを提案したところ、区長は「わんわんパトロールは、見守り活動の目を増やしていくことにつながる重要な取組と考えるので、(ハーネスや腕章など)貸与品を工夫する等、多くの方々に興味関心を持ってもらえるよう安全・安心まちづくり協議会と連携し、愛犬家の皆様にも御意見を伺いながら取組を進めていきたい」と答弁されました。
愛犬家の皆様、ご協力をお願いいたします。
「こども110番」登録にガイドライン策定へ
「こども110番」は平成9年度にPTA活動をきっかけとして始まり、令和4年4月末時点で、約8900カ所の家庭や施設、店舗に協力いただいています。本事業の実施主体は、「川崎市青少年の健全な育成環境推進協議会」が、表示ステッカー等の製作や配布、災害補償制度の運営等を行っているとのことです。例年、同協議会予算約140万円のうち、8割以上を「こども110番」事業費が占めていますが、昨年行われた協議会の摘録を見ると、「こども110番」に関する議論は一切されず、これまでも長年にわたり、議題にあがることもなかったようです。そこで、協議会のメンバー構成を確認すると、構成団体36団体、委員48名中、実際に「こども110番」に直接関わりがあるのは市PTA連絡協議会の1名のみのため、そもそも課題認識や、問題提起がしづらい環境といえます。
昨年10月、麻生区PTA協議会が、区内の小学校16校に対し「こども110番」登録家庭の状況調査を行ったところ、住所はあるものの空き家や倉庫、更地になっていた場所が、想定を上回る数で確認されたそうです。また、「引受けていただく家庭の調査も行っていない状況で、『“マークのあるお宅に駆け込め”と子どもに説明するのは怖い』という保護者の意見を受け、新規登録の募集は行っていない」と回答した学校もあります。
さらに青少年支援室が実施し公表したアンケートには、「高齢化が進んでおり、役割をなしていないように感じるが、改革もどうしたらよいか」「何年も不在の施設への対応は、学校判断で脱退として良いのか」「ステッカー貼付を拒否、難色を示されることがある」等の意見があがっています。
登録家庭の状況把握は、例えば、毎年、校外委員等が各登録家庭を訪問し、世帯状況を把握、継続の意思確認を行った上でマップに記載する学校もあれば、そうした調査を行わず、ただ、前年度をそのまま継承する学校、調査は行うものの「個人情報保護」という観点を重視し、マップへの記載は行わない学校など、各学校で対応が異なっています。
また、継続の意思確認については、手紙やハガキ等を送付しても「未回答」や「返信の必要なし」とする学校も相当数あり、「登録家庭をどこまで信用してよいかわからない」という声もあります。そこで、「こども110番」の登録にガイドラインを定め、それに則った調査を行い、マップの掲載とステッカーの貼付は必ず求めるなど、学校毎ではなく、全市で統一することを要望しました。これに対し、副市長は「危険が迫った子どもを実際に協力施設が安全に保護できるのかを、定期的に確認することは本事業の実効性を確保するために大切なこと」とした上で、「現状では、協力施設の新規登録、継続、脱退の意思確認等についての具体的な事務フローがないことから、本事業の実施主体である各小学校のPTAによって、対応に差が生じている」と現状を説明。続けて、「今後については、各校のPTAからの御意見も伺いながらガイドラインを策定し、『川崎市青少年の健全な育成環境推進協議会』で議題として取り上げるなど、より効果的な事業運営を図っていきたい」と答弁がありました。これからも子どもを安全に育てる環境整備に努めてまいります。
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