能登半島地震から1カ月が経過。被災地には人的・物的支援が寄せられている。川崎市も国などの要請を受けて、市職員らが被災地に派遣され、さまざまな支援活動を実施。麻生区役所の職員も交代で、1月10日から石川県輪島市の避難所で支援活動にあたっている。4人に話を聞いた。
区職員が、輪島市で支援活動を行ったのは、避難所となっている東陽中学校。危機管理担当で地域防災担当を務める川口健太さんは、1月10日に現地を訪れた。古い家が多く、その多くが全壊、半壊している状況を目の当たりに。道路も地割れなどで損傷が激しく、通行止めになっている箇所が多かったという。電気、水道、ガス、通信とライフラインはすべて止まっている状態の中で、避難所対応の支援を行った。
避難所にいた輪島市の職員は1人。川崎市から訪れた他の職員らと共に、川口さんは自衛隊が運んできた物資の搬入、整理をサポートし、被災者のニーズを聞いて本部に届ける活動を行った。「普段、避難所の訓練などを行っていなかったと聞いた。それでも秩序を持って助け合いながら生活されていた」と現地の様子を語る。
「避難所が物資拠点になっていたので、在庫が多いものを各避難所に希望を聞いて振り分けていた」。地域安全担当の村野民樹さんは避難所での活動を振り返る。
地域みまもり支援センター保護課の山岸奈巳さんは、17日に現地入り。炊き出しが始まり、カップ麺や水の需要が減っていた時期だった。「女性用下着や生理用品、ハンドクリームなど日用品の需要が増え、避難所の人数も減ってきて年齢層も変わってきていた。フェーズによって変わる需要と供給のバランスが難しかった」と活動の中での苦難を語る。
4人の中で最後に現地を訪れたのは、地域防災担当の横田研人さん。「水や食料品のプッシュ型から、ニーズにあったプル型への支援物資の移行が難しい。ニーズと物資のマッチングをしていくことが大事」と語る。
経験を職員、区民へ
支援経験から、災害対策に見えてきたものがあった4人は口を揃える。「行政職員がいない中で、みんなが助け合って避難所を運営していた。顔の見える関係ができていたからこそ。日頃のつながりが大切だと感じた」と川口さんは。村野さんは「避難所は決して快適ではない。自宅で過ごせるように、古い家は耐震性の確認が必要」と訴える。
備蓄に関して、山岸さんは「3日間だけでなく1週間分必要だと感じた。必要なものは時間と共に変わっていく。事前対策を呼び掛けていきたい」と話す。横田さんは「麻生区は倒壊よりも火災の注意が必要。初期消火、安否確認ができれば避難する人も減る。水や食料だけでなく、簡易トイレの備蓄を徹底していく必要がある」と住民へ呼び掛ける。
区では、派遣された職員の経験を区役所内で共有し、地域の自主防災組織等にも講座などで伝えていく意向だ。
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