「幸齢者」になるために〜考え・備える 今知りたい、麻生区の介護事情
市が発表した将来人口推計によると、麻生区の65歳以上の高齢人口は2050年までに34・7%に到達すると見られている(参考値)。人生の集大成をこの麻生区で、心豊かにおくる「幸齢者」となるために、どう備え、何を選ぶべきか。区内の高齢者福祉事情について特集する。
高齢人口率が市内で最も高くなると見込まれている麻生区。2050年に65歳を迎える世代は、現在27歳ということをふまえると、「老い」は、多くの世代が向き合うべきテーマといえる。
「介護」というと「まだまだ必要ない」や「いよいよ困ったら考える」など、私たちの日常とは遠い世界のことと感じる人も少なくないだろう。しかし、多くの高齢者たちが「自ら望む介護のあり方」を見つけるために長い時間を費やしている現状がある。
「希望する特別養護老人ホームに空きがでない」あるいは「在宅での介護を望むが、サービスの使い方が分からず、中々思うような生活を送れない」といった話は世に溢れている。
「介護」はある日突然、様々なかたちで必要になる。ある人は病気のベッドではたと思うだろう。「倒れて病院に運ばれ、麻痺が残ってしまった。これ以上は治療ができないので病院から退院を告げられているが、これからどうしよう」。自宅で介護を受ける生活を選ぶか、施設入所を選ぶか。これだけでも様々な選択肢の中から、自分にあったひとつを選ぶのは至難の業だ。
「認知症」についても同じことが言える。いざ家族にその兆候が現れても、心理的にもすぐには受け入れられないと専門家は話す。「まさかうちの親父が」と悶々とした日々を過ごすうち、時間だけが過ぎてしまうというケースや、世間の目というものを気にするばかり、中々相談に行けないといった事例も多くあるという。
常にアンテナを高く情報収集が鍵
これには日頃から様々な情報をキャッチし、地域に存在する窓口や関連施設にどのようなものがあるのかを把握しておくことが重要だ。介護や福祉の情報は数多ある。今回の特集では、区内の福祉従事者に行った取材をもとに、”麻生区で幸せに老いる”ために私たちが今できること、これから備えておくべきことについてまとめる。
地域包括支援センター利用のすすめ
私たちの身近にある介護の相談窓口に、地域に暮らす高齢者の様々な相談に応じる公的な窓口として設置されている「地域包括支援センター」がある。
麻生区には現在6ヵ所設置されている(左表参照)。今年2月には高石にも新規開所が予定されている。この「地域包括支援センター」は高齢者が自立した生活を送るために必要な様々な選択肢を提示してくれるいわば「よろず相談所」だ。要支援1・2と認定された人や介護が必要と判断された人、今後介護や支援が必要になる可能性が高いと考えられる人に対し、ケアプランを作成してくれるほか、家族の相談にも対応している。
家族の相談を受け付けていることは意外と知られていないという。介護は家族がひとりで抱えがちになる。そのような家族の心配事や介護に関する疑問、介護保険の仕組み、申請についても相談に乗ってくれる。また、高齢者を取り巻く様々なトラブルが頻発する昨今では、虐待の早期発見や高齢者を狙う振り込め詐欺の電話への対応などについても相談が持ちかけられるという。
最近では、「できるだけ介護を必要としない状態を継続する」ための予防策にも力を入れている。各所で趣向を凝らしたイベントや交流会なども企画されているので、自分の住む地域を担当する地域包括支援センターについて一度情報を収集してみてはいかがだろうか。
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