先月25日に行われた講座「岡上の昔話とくらし」昔話「養蚕の始め」で講師を務めた 宮野 薫さん 岡上在住 82歳
郷土の歴史今にいかして
○…今の若者にかつての郷土の暮らしぶりを知ってもらいたいと、約10年にわたり活動している。近所の人々が支えあう「お互い様」の精神や、ものを大切にするという昔からの風習。現代人が過去から学べることは多いと考える。「地域には多くの古文書や資料が残る。地域に生かされる者には後世に語る責任がある」。15日には岡上郷土誌会相談役として講座「岡上の昔話とくらし」の講師を務める。
○…1929年岡上生まれ。元禄時代から12代続く旧家の次男として生まれ、岡上の豊かな自然の中を駆け回って成長した。兄を幼くして亡くし、7人の弟妹たちを引っ張る家長としての役割を求められた。柿の栽培や稲作を行い、一家を引っ張った。平成7年には禅寺丸保存会の会長に就任し、地域に残る禅寺丸柿の本数や、成長具合の調査を実施した。「禅寺丸柿が次々と伐採され、減っていくのは悲しかった」。約10年前からは地域の古文書や資料を保存し、伝承する活動をおこなっている。
○…家の敷地内に、約150年前に建てられたと伝わる蔵を持つ。中には先祖が残した禅寺丸柿の出荷記録や繭の品評会の賞状に古い打掛など、昔の生活をうかがい知れる品々が並ぶ。「昔の物は、あっても使うことはないけれど、様々なことを教えてくれる。中には、昔の物なんてあっても使わないから捨ててしまえ、という人もいるが、そうは思わない」。先祖から伝わる品を見ていると、自分も後世に伝えなくてはという気持ちが高まる。
○…これまでに携わった講座では、岡上や麻生区の外からも人が集まった。「地元の方だけでなく、周辺からも人が来てくれる。予想以上に多くの人が郷土の歴史や昔の暮らしぶりに興味を持ってくれることに、やりがいや手ごたえを感じる」。より多くの「現代人」たちにかつての生活ぶりを伝え、物に満たされた現代の生活を客観的に考えてほしいと願う。
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