本日15日、映画『どん底の二歩くらい手前』の監督として川崎市アートセンターでゲストトークを行う 藤村 享平さん 日本映画学校17期卒業生 29歳
観客の目線で映画撮りたい
○…日本映画学校在学中、卒業制作で初めて長編映画を作った。脚本家を志し、学生生活の集大成として60分のドラマを完成させた。家出した少女がピンクのソファと一緒に街を転々とする様を、独特なテンポと秀逸なコメディセンスで描きあげた。「突拍子もない設定をどこまで自然に感じさせられるかに挑んだ。そのために自分が好きな監督の作品のカット割を全部うつして研究した。大変なことも多かったけれど最も熱く作品に没頭できた」。
〇…1983年、石川県金沢市生まれ。映画鑑賞は趣味でもあり、学生時代は近くの映画館へよく足を運んだ。映画学校への進学を決めたのは「当時は大学受験をしたくないという程度の決心だった」。作り手としてのノウハウを学ぶ中でも、常に観客として映画を楽しむ自分を忘れなかった。年間200本以上を観賞し、良いと思った作品は徹底的に分析。「映画を素直に好きだからこそ、変な作品をつくることはしたくない。そんなことしたら、映画に失礼だと思っていた」
〇…ハル・アシュビーやコーエン兄弟などものすごく不自然なことを自然に見せる映画監督に惹かれる。自身の作品も、テンポよく進む展開の中に、シュールで独特な笑いを忍ばせる。「彼らの作品は本当によく考えられた工夫や技術が組まれている。そういう技術を読み解くたびに感動さえ覚える。素直に観客として楽しめる作品が好きだし、監督としてもそこにこだわりたい」
〇…最新作は埼玉県とのプロジェクト。映画監督を職業にしてからは、様々な人の要望や思い、商業的なオファーを反映させながらの作品づくりが創作の中心となった。成長した今、改めて学生最後に撮った作品を振り返る。「いつかまた、まったくのオリジナルで、いちから書き上げた作品を仕上げてみたい。その作品で、監督として認めてもらえたら。今はそれが一番の目標」
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