白黒の世界に「色」を見る 墨絵教室が20周年
和紙に描かれる「白」と「黒」の世界。墨と筆が織り成す無限の表現に惹き込まれる―。
麻生市民交流館で月に2回活動を行っている墨絵教室のメンバーらが20周年の節目を迎え、24日まで麻生市民ギャラリーで展覧会を行った。
8人の生徒たちに墨絵を教える松尾恵生さんは、思いのまま感じたものを自由に描きとめる墨絵の魅力を伝えようと20年ほど前に教室を開いた。「墨絵の魅力は何と言ってもその無限の表現力。白と黒だけで沢山の色や質感、空気までを描きわける」。にじみやぼかし表現、擦れ技法や型押しなど様々な技法を組み合わせ、「色」に負けない世界を生み出す。濃淡や繊細な筆道で構成される墨絵独特の表現力は無限と言われ、多くの油彩の巨匠がその集大成にたどり着く境地としても知られている。松尾さんは言う。「色はその絵を見てくれた人が感じたまま自由に付けてくれればいい。どれだけの色を感じてもらえるか、そこに描き手の面白さがある」
展覧会の出品作品を見ると、その題材の自由さに驚く。ある人は旅行で訪れた異国の風景を、ある人は四季の日本を、またある人は大好きな孫を自由に描く。「心が動いた瞬間や、残しておきたい風景、思い出のひと場面などを自由に描く。そうすると、その人の個性がより光る。絵って楽しみ方も千差万別でいいと思うんです」。20年来、松尾さんに墨絵を習っているという冨永弘子さんは「私は絵の題名を決める時間が一番楽しい。絵に命を吹き込む瞬間に喜びがある」と墨絵の魅力を語る。また生徒の溝口祥子さんはインテリアを学ぶ中で、マンションにも気軽に飾れる墨絵に魅力を感じたという。
もっと自由に、もっと楽しく。墨絵が持つ無限の表現と、描き手の個性がえもいわれぬ感動を生み出す。
同会への問い合わせは(【電話】044・933・1187)冨永さんへ。
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