麻生消防署消防士として「福島支援全国消防派遣隊」に参加し先月帰隊した 小島豊大(とよひろ)さん 川崎区在住 26歳
「人のために働きたい」
○…福島県の双葉消防本部から全国の消防署に派遣要請があり、川崎市隊の一員として被災地に向かった。東日本大震災による福島第一原発事故で避難指示や居住制限などが出されている双葉郡で、2週間におよぶ活動。火災などをいち早く発見するための警戒巡回や道路の安全確認、倒壊家屋の発見、倒木の排除を行った。「避難を余儀なくされている方々のため、未来のため、自分のできる限りの力を尽くそうと任務を遂行した」
○…「人のために働きたい。困っている人がいたら助けにいきたい」と思い、消防士を志した。消防学校、救急標準過程を経て現場へ。2年目には救急隊を1年間経験し、人の生死に直結する現場を数多くこなし、大きな影響を受けた。2009年からは特別救助隊の一員として人命救助のために日々奮闘する。現在、より人命救助の第一線で活躍していきたいと、特別高度救助隊になることをめざしている。
○…休日は2歳の愛娘と妻のために家族サービス。買い物など一緒に出かける時間を大切にしている。今回、派遣を強く希望した気持ちを妻は快く理解し、送り出してくれたという。「福島から帰宅し、家族の笑顔を見ることができた瞬間、本当に心が癒された」
○…現地消防職員の話を聞いていくうちに、この2年で復興作業ははるかに前進していることがわかったが、震災発生直後、特に双葉郡は広範囲に及ぶ被災地に対し、消防の人員が少なく、活動がなかなか進まなかったことを知った。また、人命救助から避難誘導に切り替えなければならなかった無念さや、自己犠牲をともなう可能性がある津波被害や原子力災害の現場、倒壊家屋からの救出活動での経験、教訓が心に響いた。「川崎でもいつか同じようなことが起こるかもしれない」。現地で聞いたことや体験したことを後輩たちや職場に伝え、震災対応の訓練を重ねていく。
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