児童養護施設の元職員、谷浩子さんが描いた絵本「かーくん」が話題を呼んでいる。11月の児童虐待防止推進月間では市内の各啓発会場で紹介されたほか、市民館などで読み聞かせイベントも開かれた。谷さんは「絵本を通して施設の子どもたちの心を知ってほしい」と話す。
「かーくん」は今夏、芸術で子どもたちの成長をサポートする一般社団法人ソーシャル・アーティスト・ネットワーク(S・A・N/江口義実代表理事)主催の絵本コンペで最優秀賞を受賞した作品。テーマは児童養護施設。現場を経験していた谷さんは「自分が作らなければならない」と応募したという。
担当したS・A・Nの加藤考子さんは「施設の子どもたちの心情を見事に描いている。谷さんだからこそ描けた」と話す。
主人公かーくんは実際に谷さんが出会った園児がモデル。絵本では職員へのいたずらや父親に対する「あかんべー」など、かーくんの行動とその裏側にある満たされない思いを温かな絵とシンプルな言葉で表現。「愛情を受けられず施設に入った子どもたちは感情表現が苦手。大人が理解してあげることが必要」と谷さん。その思いが市に届き、啓発キャンペーンの顔の1つになった。
絵本は各区図書館にあるほか、S・A・N(【電話】03・6740・1650)で販売している(1冊1300円)。売上は施設支援に使われる。
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