「川崎モデル」と呼ばれる川崎市経済労働局と川崎市産業振興財団の中小製造業支援が、全国各地の自治体や金融機関から注目を集めている。9月9日に開かれた社会起業大学主催の「ソーシャルビジネスグランプリ」の政治起業家部門でグランプリにも選ばれた。評価を高めるきっかけとなったのが一冊の単行本だ。
単行本『なぜ、川崎モデルは成功したのか?〜中小企業支援にイノベーションを起こした川崎市役所〜』。著者はシンクタンク代表で経済評論家の藤沢久美さん。
藤沢さんが着目したのは、市役所や同財団職員、訪問先の経営者との会話の端々に出てきた「川崎モデル」という言葉だ。定義は人によって様々だが、藤沢さんは「自分のことのように企業が何をすべきかを考え、実践すること」と捉え、「最終的に地域活性に結びついている」とみる。
本では、円高による産業空洞化に危機を抱いた市幹部らが中小企業の支援策に奔走する姿を紹介。両職員で構成する「チーム川崎」が現場に足を運び続けて企業からの信頼を得るまでの営業プロセス、支援を受ける企業側の市に対する見方、地域密着営業を展開する金融機関からみた評価なども紹介している。
今年4月の出版後、愛知県や岡山県津山市、大阪府堺市、東京都など多くの自治体が視察に訪れているという。同局企画課の小沢正勝課長は「これを追い風に、さらに中小企業の商売につながるよう頑張りたい」という。
出版元の実業之日本社の安田宣朗(のぶあき)さんによると、「ビジネス本としても役立つ」と公務員以外の購入者も少なくないという。「アベノミクスが掲げる地方創世のアイデアにもつながる」と金融機関からの関心も高いという。本は四六判で全231ページ。価格は税別1400円。
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