川崎市は先ごろ、外国人市民が生活に関する不安や困惑していることについて、外国人市民に直接インタビューしてまとめた「外国人市民意識実態調査」を公表した。支援制度があっても情報がうまく伝わらない実態などが浮き彫りになった。
同調査は昨年実施したアンケート調査に基づく報告書の補完版。書面調査だけでは把握しきれない外国人市民の不安や困惑の実態を明らかにする狙いがある。
調査は、昨年6月から8月末にかけて学識経験者らで構成するチームが、44人の外国人市民を対象にインタビュー形式で行った。
報告書は、A4サイズ91ページで「子育てをめぐる課題」「学校や教育における課題」「雇用と労働」など、11章で構成されている。
「介護が必要になった場合の暮らし方」については「国民年金に入れるようなことを『知らせてくれなかった』ゆえに、現在その分を受け取ることができない」「介護保険についても、制度があるからといって、十分な介護が受けられるのか疑わしく思っている」と不安な声が紹介されている。
年金の加入については「会社側は、社会保険を適用することに消極的で、雇用するときに加入のメリットをろくに説明しない」という意見があった。
「子育てをめぐる課題」では、「福祉制度の利用を求めて相談所に行ったところ『会社に頼んでください』と言われ、会社に相談できずに困った」という声が取り上げられている。
最終章では、調査チームが「通訳・翻訳体制の整備」「相談体制の拡充」「情報の多言語化」などを提言。また、繰り返されるヘイトスピーチデモについて「昨今の状況を踏まえた声が十分にとれたわけではない」と市に対し、さらなる実態把握に努めるよう促す。
川崎市は、「支援のための制度や事業を外国人市民が使いやすいものにする必要性や制度の周知が課題とし、今後の施策に反映していきたい」としている。
報告書の閲覧は、情報プラザ、川崎市のHPなど。
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