台風24号が発生した9月30日から翌日にかけて、川崎市内の土砂災害警戒区域の4万2800世帯、9万3627人のうち36世帯、52人が避難所を利用した。利用率は低い傾向にあるが、市危機管理室は「夜間や激しい雨風の中では避難所への移動が危険なこともある。状況に応じた避難行動の重要性を見直してほしい」と訴える。
倒木や建物被害が多発した台風24号。市は土砂災害警戒区域に「避難準備・高齢者等避難開始」を発令し、69カ所の避難所を開設した。昨年10月の台風では同区域と高津区の平瀬橋周辺に避難勧告が出され、71世帯、117人が避難所を利用。自宅待機する傾向が強いといえるが、市は「避難所に行くことだけが避難ではない。屋内の安全な場所での待機や、上階への避難をした人もいるのでは」と説明する。
一方、土砂災害警戒区域内の自治会長の一人は「警報等で町内から相談の連絡を受けたことはこの数年で2回だけ。実際のところ、私の家は大丈夫と考えている人が多いと思う」と話す。自力で避難が困難な人を支援する「災害時要援護者避難支援制度」には、市内で約6千人が登録しているというが、その対応は各町会や自主防災組織に委ねられている。いずれにしても、市民の認識や行動の実態は明らかでない。
市の風水害対策については、洪水ハザードマップを昨年度改定。浸水想定区域は市全域の約40%で、土砂災害よりも広域に避難情報が出る可能性がある。今夏は、避難行動についてまとめた広報紙77万部を全戸に配布。7月の台風12号では市ウェブサイト等にアクセスが集中し、つながりにくくなったことから、軽量版への切り替えや負荷の分散など対策を講じた。屋外の無線放送が聞き取りにくいという声に対しては、音声内容のメール配信を始めている。
市が災害時に情報発信するメールの登録者数は約3万5千人、アプリは約1万9千人にとどまる。担当者は「人口150万人に対しては少ない。高齢者などへの情報発信方法も研究しつつ、普及を進めたい」と話している。
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