上麻生の水道設備業「株式会社一本松工業」が、川崎市の新型コロナウィルス感染症への対応に収益金すべてを寄付する目的で、同社の先代会長が描いた水彩画をコミュニティーサイトに出品している。
すべて元会長の寺尾祥三さん(享年94)が描いたものだ。広島出身の祥三さんは戦後、疎開先の柿生で創業。農機具やポンプの取り扱いを経て、民間や公共施設の給排水工事、リフォーム工事を請け負ってきた。社長職を息子・巧さん(66)に譲り、会長になった70歳から趣味として独学で絵を初めたという。
祥三さんが亡くなり約10年。親しい人に作品を譲るなどしていたが、130点以上が残されていた。そんな折、巧さんは「新型コロナに対応する医療従事者に寄付するため、ダルマ市のときに会社の前に絵を並べよう」と発案。ところが今年のダルマ市が中止となったため、ウェブサイトへの出品に切り替えた。
多色重ねて
祥三さんは、旅先で写真を撮り、その写真を題材に絵を描いていた。多色を重ねた手法が特徴だ。傘寿の祝いには区内のギャラリーで個展を開催。同じロータリークラブで活動を共にしていた日本画家の大矢紀さん(84)は、祥三さんについて「シャイな人で描いた絵は見せたがらなかったが、アマチュアとして楽しんでいた」と振り返る。
作品を見ながら、巧さんは絵を描いていたころの祥三さんの言葉を思い出す。「『60歳を過ぎたら、静と動の趣味を持ちなさい』とよく言っていた。読書や絵を描く『静』、ゴルフや旅行の『動』。そうしたら、人生が楽しくなるんじゃないかって」
現在、ウェブサイト「ジモティー」に5〜7点を掲載、今後も数を増やしていく予定。「困っている人の少しでも役に立つことが目的。1つでもいいと思うものがあれば」と巧さん。詳細、問合せは同サイトから。
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