多摩区内で振り込め詐欺の被害が後を絶たない。今年の発生件数は市内7区中ワースト1の25件(未遂含む/8月25日時点)。すでに昨年1年間の13件を大きく上回り、その大半は「振込み」ではなく、犯人に直接「手渡し」するケースという。巧妙化する手口に多摩警察署では注意を呼びかけている。
多摩署によると、今年に入って県内で発生した被害は646件で被害額は約21億円にも及ぶという。多摩区の被害額は2件の未遂を除く23件で合計6685万円にも上る。
区内で発生した手口のうち、金融機関の口座に振り込ませるケースが1件で、被害者の自宅などで直接受け渡しを要求するケースが24件もあった。
同署では「名称としては振り込め詐欺だが、最近では現金を手渡しするケースがほとんど。振込みでないからと安心しないでほしい」と呼びかける。
区内で被害にあった人は高齢の女性が多く、相手が息子を名乗るケースが多い。被害者の性別をみると、女性19人で男性が6人。年齢別では60代が2人、70代が14人、80代が9人だった。犯人が装うのは息子が18件、甥が4件、孫が2件(その他架空請求1件)。現金を要求する口実は「カバンを紛失した」が18件と最多。ほかに借金返済が2件、横領や治療費、証券取引を挙げたケースがそれぞれ1件だった。
カードを取る手口も
8月19日に2件発生した手口は銀行協会関係者や多摩警察署職員を名乗る男らがキャッシュカードを騙し取るケース。「あなたのキャッシュカードが詐欺に使われている。カードを預からせてもらう」などと言われ、暗証番号を伝えてしまったという。
多摩署では「銀行関係者や行政職員、弁護士などを名乗ってキャッシュカードを騙し取る手口は5年ほど前によく使われていた。暗証番号を聞かれたり、キャッシュカードを預かると言われたら、ほぼ確実に振り込め詐欺」という。
こうした事態を受け、多摩署では不審な電話があった地区にパトカーを使って注意を呼びかけるほか、高齢者を対象にした防犯講話を開く対策を進めている。また、金融機関に対し、これまで300万円以上の引き落としがあれば通報するよう要請していたが、今年に入ってから100万円以上と改めた。
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