神奈川県が先月末に発表した、土地取引価格の客観的な目安となる基準地価(7月1日時点)。地価の平均変動率(前年比)はコロナ禍の影響で全体的に下落傾向が見られる中、多摩区では登戸の商業地2地点で2%台後半の上昇率を見せるなど踏みとどまった。
住宅地は下落
住宅地の前年比の下落率は県全体で0・9%、川崎市は0・1%。多摩区13地点の平均変動率は、市内で麻生区(マイナス1・4%)、宮前区(マイナス0・9%)に次ぐ下落幅となるマイナス0・1%だった。
市内住宅地の傾向について、県政策局は「都心への近さや都内との価格差などを反映し、前年まで堅調に上昇基調だったが、コロナ禍によりほぼ全地点で今年前半の下落が大きくなり、市全体の下落につながった」と分析。平均変動率では県と市、多摩区のいずれも前年の上昇から下落に転じたが、区内地点では「登戸字甲耕地149番2」(30万円)が最も高い上昇率の2・4%だった。
商業地では県全体の上昇率が0・2%で川崎市は1・1%(前年4・8%)、多摩区5地点の平均変動率は1・4%(前年4・9%)の微増にとどまった。区内で最も上昇した地点は「登戸字己耕地2662番2」(58・5万円)の2・8%、次いで「登戸字庚耕地2736番5」(84・5万円)の2・7%。いずれも向ヶ丘遊園駅周辺だった。
区画整理に期待
登戸地区の上昇傾向は、進展中の土地区画整理事業が影響しているようだ。同地区を中心に、ビル管理やプランニングを手がける井出コーポレーション(登戸)の川原田茂久さんは「区画整理によって登戸駅、向ヶ丘遊園駅周辺の注目度が上がっていることも一因。現在はまち形成の途中だが、将来への期待値が(地価に)プラスに影響している」と話す。
1988年に始まった登戸土地区画整理事業は2013年策定の整備プログラムに基づき、集団移転方式を活用しながら市が進行。昨年秋に第5回変更の事業計画が定められ、2025年度の完了を目指している。
基準地価は1平方メートルあたりの価格を都道府県が調査し算出しており、毎年9月に公表。今回は県内927地点、川崎市内116地点が対象になった。
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