本紙では、就任2年目を昨年迎えた多摩区の中村孝也区長に新春インタビューを行った。中村区長は「地域防災力」や「ピクニックタウン多摩区」をキーワードに、区内で顔の見える関係づくりを強化すると強調。地域一丸でにぎわいと魅力を創出し、区民が住み続けたいと実感できるまちづくりを進めていくと語った。(聞き手/本紙・地主豊)
――まずは昨年を振り返り、総括をお願いします。
「川崎市総合計画を3月に策定しましたが、区計画に基づき地域課題の解決に向け、さまざまな取り組みを進めてきました。多摩区は土砂災害警戒区域が市全体763カ所のうち179カ所と多い地域です。区計画でも『災害に強く安全で安心できるまちづくりの推進』を柱の一つとし、地域防災力の向上に努めています。4月の熊本地震では災害の恐ろしさを改めて痛感したところです。多摩区からも職員を派遣し、現地で避難所運営、罹災証明の発行、被災者への健康支援などを行いました。8月にはニヶ領せせらぎ館周辺をメイン会場に市総合防災訓練が行われ、サブ会場の稲田中学校では、熊本で活動した職員が避難所を再現する設営訓練なども実施。多くの参加者に避難所生活を体験してもらいました。
8月の台風9号では、13カ所の土砂災害警戒区域で避難所を開設しました。近年は台風だけでなく豪雨も多く、日頃の備えが重要になっています。東日本大震災や熊本地震の教訓、区の地理的特性を踏まえ、地域と一体で防災力向上を推進。災害時の区災害本部の対応力強化へ、職員研修などを充実させていきます」
「地域力」で魅力発信
――昨年、印象に残った主な取り組みや出来事は。
「多摩区には多摩川や生田緑地など豊かな自然をはじめ、日本民家園など多彩な施設が数多くあります。そんな場所でゆったりと一日を過ごしてもらえるよう『ピクニックタウン多摩区』をキャッチフレーズに、地元ならではの楽しみ方を提案しています。昨年はピクニックで楽しく食べられるオリジナルサンドのレシピを募集し、多くの応募をいただきました。1月からの投票で優秀作品を決め、3月に審査結果を発表する予定です。実際にレシピを試してもらえるよう、広くPRしたいと考えています。
9月のリオデジャネイロ・パラリンピックでは、多摩区在住の成田真由美選手が競泳で日本、アジアの新記録を更新するなど大活躍されました。さらに、川崎市市民特別賞に輝いたことは大変嬉しいことです。
また、藤子・F・不二雄ミュージアムが9月に開館5周年を迎え、登戸駅からの直行バス2台のデザインがリニューアルされました。JR南武線登戸駅と宿河原駅の発車メロディーが変更されたのも印象的でした」
――次年度に向けた課題や展望を教えてください。
「特に力を入れたいのは『地域づくり』です。『地域包括ケアシステム』推進を掲げ、昨年は中野島地区と生田地区のかりがね台でモデル事業を行いました。中野島では『中野島多世代つながり愛プロジェクト』と題してあいさつ運動などを行い、今後は多世代型生活支援システムなどを進めていきます。生田地区ではアンケートなどを通じて地域主体でできることを検討してもらい、実践につなげていくよう取り組んでいます。モデル事業の成果を生かし、地域包括ケアシステムを区全域に広げたいと考えています。そのためには住民や事業者、各団体と行政の連携が不可欠です。
区の魅力発信と観光資源の活用にも力を入れていきます。今年は日本民家園が開園50周年を迎え、記念の催しも行われますので、ぜひ足をお運びください」
――最後に、区民へのメッセージをお願いします。
「皆さんが住み続けたいと実感できるまちづくりを進めていきます。そのためには行政職員だけでなく、皆さんと一緒に地域課題の解決に取り組む必要があります。お気づきのことがありましたら、ご意見をお寄せください。今後もご協力をよろしくお願いします」
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