今月2日、92歳で亡くなった幸区ゆかりの絵本作家かこさとし(加古里子/本名・中島哲)さんと親交のあった、同区の北野書店が6月13日から3日間、エポックなかはらで「かこさとし展」を開く。企画展を通じ「数多くの作品を残した、かこ先生の創作の原点が幸区在住時代に育まれたことを、子どもたちに伝えたい」。北野嘉信社長は力を込める。
『からすのパンやさん』や『だるまちゃん――』シリーズをはじめ、600冊以上を残したかこさん。今回の企画展は、同書店主催の川崎市学校図書展示会での同時イベントとして開催する。
昨年から準備を進め、かこさんから直接「川崎のことだったらお手伝いする」と話があったという。訃報に接した北野社長は「当初亡くなったことが実感できなかったが、日に日に心に穴が開いている」と語る。
北野社長は10年ほど前、かこさんとの共著で絵本を制作した藤嶋昭(東京理科大前学長)夫妻を通じて「特別な縁」を持ち、交流を深めた。「包み込まれるような、全てを受け入れていただける」かこさんの優しさに触れ、「何かできることはないか」と思案。地元ゆかりの絵本作家であることを広めようと、JR鹿島田駅前の書店で関連フェアを開催してきた。
創作活動、市内で
かこさんは東大工学部を卒業後、昭和電工(幸区)の研究所に勤務。1950年代後半から70年まで近くの東古市場や市内に住んでいた。
戦後間もない頃の古市場地域は、バラック平屋が立ち並び、厳しい生活を送る人が大勢いたという。かこさんは休日になると、セツルメント(生活向上のための社会事業)活動に尽力。紙芝居や幻灯作品を作り、子どもに読み聞かせをしていた。創作活動の原点で「川崎の子どもたちから学んだ」と語っていたという。
企画展では絵本のほか、川崎を描いた複製画や市内在住時代の写真を展示。北野社長は「かこ先生は平和や多様性などさまざまなメッセージを絵本に込めていた。子どもたちの幸せのために創作の原点に触れ、身近に感じてもらえれば」と語る。
入場無料で午後1時から7時(最終日は5時)まで。詳細は同書店ウェブサイト(【URL】http://kitanobook.co.jp)。
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