水害や土砂災害の危険区域に立地する高齢者施設など、要配慮者利用施設に義務付ける「避難確保計画」の作成が川崎市内で進んでいない。義務化から2年、市内対象施設の7割以上が未作成。台風19号で市内が被災したことを踏まえ、市は「危機感を持ち対応する」としている。
避難確保計画は、避難場所や避難時機、職員対応など、利用者の迅速な避難に必要な事項を記す。浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある社会福祉施設、学校など、避難に支援が必要な「要配慮者」の利用施設で作成が義務付けられている。
市内の危険区域にある施設は、全体の7割以上を占める1920施設。このうち作成済みは3割以下の532施設(11月20日時点)で、県の作成率(4割)よりも低い。市担当者は「積極的な対応が必要」と話す。
災害時に早い判断
10月の台風19号で、1階が胸の高さまで浸水した介護老人福祉施設「みやうち」(中原区)は、避難確保計画と独自のマニュアルを作成している。当日は利用者50人を3階に避難誘導し、書類やベッドなども上階に運び上げた。管理係長の宮野義隆さんは「マニュアルのおかげで早めに判断できた。災害時に誰でも対応できる仕組みづくりが重要だ」と振り返る。
一方、義務化を知らない施設もある。市は保育園の園長会などに計画作成の説明を行うが、全対象施設への周知は17年に実施した説明会と年1回の通知のみにとどまる。
国は作成率向上に向け、作成方法などを説明する講習会を各自治体に推奨する。3年前から毎年行う横浜市は、参加者が計画を作成する形式で提出期限を設定。作成率は7割近くに達する。
川崎市は現時点で講習会を予定していない。市担当者は「台風による施設側の危機意識の高まりを契機と捉え、庁内各部署で連携して積極的な支援をしていく。講習会も必要に応じ検討したい」としている。
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