大規模な自然災害に備え、多摩区は感染症対策を考慮した避難所運営の体制づくりを進めている。令和元年東日本台風の検証を踏まえた風水害時のマニュアルとあわせて、感染リスクを軽減する新たな避難の形を示す。
川崎市は7月、コロナ禍の避難所開設・運営についてまとめた手順を公表。3密回避や手指衛生の徹底といった基本的な感染対策のほか、事前準備や注意点、避難者への対応を明示した。
多摩区では職員向けに、避難所の受付業務に関する研修を実施。テレビ会議なども活用し、周知に取り組んできた。8月4日には、中野島小学校を会場に訓練を行い、職員の動きを実践。避難者を「要配慮者」「健康観察者」などの4つのグループに分け、誘導方法を確認した。避難者の立場で参加した中野島小避難所運営会議の千葉伸委員長は「コロナの正しい知識を身に付け、避難所の仕組みを考えていきたい」と気を引き締める。
8月7日には、区内21校の指定避難所合同会議も開催。代表者が集い、改訂版のマニュアルやコロナ対応を中心に情報共有した。区自主防災組織連絡協議会の濃沼健夫会長は「多摩区のマニュアルは住民が自主的に動こうという方向。そういう意識を持ち続け、行動することが大切」と話す。
このほか、区は8月21日から、感染対策に必要な物品を各校の防災備蓄倉庫に順次配置。マスクやフェースガード、消毒液などで、9月中には設置完了予定という。
各自「行動計画」を
東日本台風では、区内18カ所の避難所に8千人超が殺到。感染リスクを考えると、3密回避に課題が残る。区危機管理担当は「避難は『難』を『避』けるもの。自宅が安全であれば避難所に行く必要はない」とし、高所階への垂直避難や知人宅への分散避難など、検討を呼びかける。
区は、各自が風水害に備えて数日前からの動きを考える「マイタイムライン」(避難行動計画)の作成についても啓発。担当者は「台風が発生したらどうするか、常日頃から家族で話し合ってほしい」と話している。
|
<PR>
多摩区・麻生区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|